エホバの証人2世という過去は、人生の恥部
21世紀初めのこと。私は、エホバの証人についてインターネットで調べようとしていた。『14万4000人の残りの者』の人数を調べれば、ハルマゲドンの到来時期がわかるだろうと考えたから。
生まれながらのエホバの証人2世だった私が、教団を脱会したのが14才のとき。1994年のこと。それ以来、意識してエホバの証人を避けてきた。
エホバの証人2世だった過去は、私の人生の恥部だから。
小学校の節分で私だけ鬼のお面をつけられず、豆まきを教室の端から見ていた。あの時の屈辱感。同じ屈辱感を小学校から中学校のあいだ、何度も味わった。
エホバの証人2世だった屈辱的な過去と決別すべく、私は全力でエホバの証人らしくない生き方をしてきた。いつハルマゲドンで死んでも良いように。そのハルマゲドンがいつ来るのか?
ノストラダムスの大予言もはずれ、時代は21世紀になっていた。
増加し続ける、エホバの証人の14万4000人の『残りの者』
インターネットで「エホバの証人 残りの者」と検索したのは2002年か2003年頃。私は、『残りの者』の人数が分かれば、ハルマゲドンがいつ来るのか予測できると考えた。
エホバの証人の教理では、死後に昇天する『油そそがれた者』たちが存在する。この中の、地上での生き『残りの者』が死に尽くした時にハルマゲドンが起こるとされていた。
油そそがれた者は定員14万4000人、その人員選別は終了しており、ハルマゲドンも間近だと、私は洗脳されていた。
エホバの証人の『残りの者』の教義については
エホバの証人の主の記念式と14万4000人の残りの者
残りの者の人数をインターネットで調べたこのとき、驚きの事態が。近年、残りの者の人数が順調に増えていた。私はちょっと混乱し始めた。増えるとはどういうことだ?順調に減り続け、最後の奴が死んだらハルマゲドンだろ。おかしいじゃないか。
エホバの証人のハルマゲドン延長します!宣言
エホバの証人という忌まわしいワードが、パソコンの画面を飛び交う。この非常事態におぞましさを感じながらも、私はさらに調べ続けた。エホバの証人、そして自分がエホバの証人だった過去を意識的に避けてきた、いや逃げ続けてきたのだが、こうなるともう止まらない。
吐き気すら覚えながら、検索を進める。すると、トンデモ教義がさらにトンデモないことになっているのを知る。
エホバの証人の教理変更:ハルマゲドンってもうちょっと先なんじゃね転換。
「今この瞬間にでも、この世の終わりが来るんじゃなかったのかよ」と、私は思う。先っていったいいつだ?
この教理変更があったのが、私がエホバの証人をやめてすぐ、1995年のこと。私が知らなかったはずだ。意識的に、半ば強迫観念に囚われるかのようにエホバの証人を避けていた時期だったから。
この教義変更について、詳しくは1914年の嘘と1995年の冗談
これはどういうことだ?ハルマゲドンはまだ来ないのか?両親がエホバの証人をやめたのはこれが理由か?目の前がクラクラし始める。
ラッセルの墓はピラミッド
検索する指は震えるが、さらに情報を集める。ここで一撃、強烈なネット情報に遭遇する。
ラッセルの墓があり、しかもピラミッドになって残っている。
これを見た瞬間に、私の洗脳は解けた。
ラッセルとは、チャールズ・テイズ・ラッセル、ものみの塔協会の初代会長、エホバの証人の開祖のような存在。
私の周囲のエホバの証人の間では、墓に埋葬されることは禁止されているし、ましてや個人をピラミッドに祀るなんてもっての他。
そのはずが、裏では初代会長が特別扱いされている。崇め奉られている可能性がある。この事実が隠されている。これだけで充分だった。
エホバの証人たちは、一般の情報に極力触れないように指導されている。それは、こういった都合の悪い情報をすべて隠蔽するためだった。反対者の言葉には一切耳を貸すな。そう強制されるのも、こういった不都合な事実を覆い隠すため。
信者の頭からフレッシュな情報を締め出し、純粋培養のマインドコントロール状態を保つため。こう合点がいくと、何もかもがつながり出す。
エホバの証人の洗脳が解除される瞬間
あいつらものみの塔協会は、完全な嘘つき集団だった。家族3人で20年もの間、ものみの塔を信じ切っていたが、それはものみの塔によるマインドコントロールの成果だった。
エホバの証人組織だけが真理の組織だと思っていたが、実情は、オウム真理教とか統一教会となんら変わらないカルトだった。
エホバの証人をやめようと考え始めた小学校の高学年以来、薄ら薄ら感じていた違和感の正体。点でしかなかったものみの塔の教理に対する疑問点、不信感がすべてつながった。
ものみの塔=偽善の組織という図式が成り立つと、すべて納得がいく。つじつまがあう。
人間組織は不完全なので、その都度、神の補正が入り、真理の光は増していく。ものみの塔協会ですら間違いを犯す。そう言われればそんなモノなのかと思っていた。
それでも、隠蔽はしないよね。
不都合な事実はすべて隠し、ごまかしている。ものみの塔は、信者を欺くカルト。私の中でそう結論が出た。カルトの予言が当たるはずがない。予言をハズすたびに、人間は不完全だから、とごまかしてきた。
元エホバの証人2世の人生の規範が崩壊すると
ハルマゲドンは来ないし、神エホバは存在しない。私たち3人家族がものみの塔に費やした20年もの歳月と莫大な経済的損失、何よりも家族の崩壊、すべて返ってこない。あとの祭り。水の泡。
オレの人生は、この後どうするべきなんだろう?ハルマゲドンが来ないとなると、寿命はまだまだ長い。私はこのとき22歳~23歳。
自身の基準・規範となっていた、”人生は限りなく刹那、短く一瞬、それが過ぎ去れば無、何も残らないゆえに神も怖くない”。この思想が崩れ去った。
神エホバはいないし、ハルマゲドンなど起こらないので人生は意外と長い。死ねば無に帰するだろうが、それもエホバの証人の教理なので実に怪しい。
ものみの塔の洗脳が解けたのは良かったのだが、私は20代前半にして、生まれたての赤子のように、一から自分の価値観を再構築する必要に迫られた。
“元エホバの証人2世の覚醒の瞬間、洗脳解除の理由とは?” への7件の返信