元エホバの証人2世の死刑宣告とは
私の両親は異常に熱心なエホバの証人だった。そのため、私はほぼ生まれながらにエホバの証人2世信者として育てられた。エホバの証人の教理を物心つく前から仕込まれ、体の隅々まで染み渡っていた。
子供の頃の私は、完全にエホバの証人の洗脳下にあった。エホバの証人をやめたあとでも、10年近くは寺社仏閣やホラー映画といったエホバの証人の禁じるものに嫌悪感があった。これがカルトに骨の髄まで侵された結果。
私は14才の秋に自分の意志でエホバの証人をやめた。中学2年生、1990年代中頃のこと。小学校高学年の頃からエホバの証人をやめたいとずっと考えていた。しかし、実際に両親にエホバの証人の集会にも奉仕※にも行かないと宣言するのに何年もかかってしまった。
※布教活動のこと
一人息子だった私は、両親に愛されているという自覚があり、エホバの証人をやめることは両親の期待や両親そのものを裏切ることだという思いがあった。両親を悲しませることが怖く、私にはエホバの証人をやめる宣言をすることにためらいがあった。
また私は、エホバの証人組織による深い洗脳状態にあった。エホバの証人をやめるということは、来たる終末のハルマゲドンで神エホバにより滅ぼされることを意味する。
こんな突拍子もないことを、中学生にもなって全く疑いもせずに信じ込んでいた。いかに幼い頃からの洗脳が脅威であるか。エホバの証人をやめると両親に宣言した私は、自分自身に時限付き死刑宣告を下したようなものだった。
天から降る業火で体を焼き尽くされる
14才の私が、エホバの証人をやめるきっかけとなったのは、私がサッカーに熱中したから。その後、14才から20才を過ぎるまで、私はハルマゲドンに怯え、戦々恐々と日々を過ごす。
サッカーばかりしている頃は、ボールを蹴ってさえいれば、何もかも忘れられるので良かった。ところが、私はサッカーにもしばらくすると飽きてしまった。そこで私は、子供の頃からエホバの証人の教理で禁止されていたことを行い始めた。まるで、過去を取り戻すかのように。
古今東西の映画やテレビドラマ、アニメを見なければならないし、小さな頃に出来なかったテレビゲームのシリーズものも順番にクリアしていった。喫煙や飲酒も未成年の間に始め、麻雀、パチンコとギャンブルにも興じていた。何人かの異性とも交際し、順調に初体験も済ます。
そういった日々の中で拭えないハルマゲドンへの恐怖があった。それでも、毎日をなんとか享楽的に過ごし、やり残すことなく悔いなく死んでいきたいと思っていた。
天から降る業火で焼き尽くされる夢を見て、汗びっしょりで目覚めることもあった。これは、未だエホバの証人2世だった幼少期から繰り返し見てきた夢。カルトの洗脳はそう簡単には去らない。
この時期、20才を少し過ぎた頃、私はインターネットでエホバの証人について調べることになった。21世紀になってもハルマゲドンが起こらないから。ハルマゲドンは今すぐにも来ると物心つく頃から言われ続け、いつの間にか20年も経っていた。
エホバの証人の教理から、ハルマゲドンの到来時期が読み取れることを思い出し、私はインターネットでエホバの証人について検索したのだった。
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