排斥を避けるため、息子をバプテスマから守った私の両親

エホバの証人2世の子どものバプテスマ

私は家族全員がエホバの証人という家庭で育った。エホバの証人の通称「神権家族」。父は会衆の長老、母は正規開拓者というでエホバの証人的にはサラブレッドとも言える最悪な状況。私は、その最低な家庭で、エホバの証人の2世信者として育った。
※長老とは会衆の責任者、正規開拓者とは年間1000時間(2022年1月現在はコロナ禍で時間制限が撤廃中)を布教活動に費やすヒマ人のこと

エホバの証人の2世信者の中には、小学校高学年ぐらいからバプテスマという洗礼の儀式を受け始める子どもが現れる。ところが、サラブレッドであるはずの私は、中学生になってもなぜかバプテスマの儀式を先延ばしにされていた。

バプテスマは献身の儀式とも言われ、エホバの証人の献身の実情は、神エホバではなく、ものみの塔協会に対して忠誠を誓う儀式。

私はエホバの証人をやめたいと、いつも強く願っていたし、神であろうと組織に対してだろうと、献身したいとは全く思っていなかった。ただ親から求められれば仕方が無いので、偽りの献身をしたはず。

表では組織の戒律に従っているものの、隠れた場所ではものみの塔の戒律を破り、心中ではエホバの証人をやめたいと私は思い続けていた。献身の儀式も私にとっては、ただの儀式でしかなかった。

私のバプテスマが先延ばしにされていたのは、私にそのつもりが全く無かったことが第一要因。しかし、それとともに両親の私に対する愛情でもあったのではないかと、今の私は考えている。

エホバの証人の中ではまともな方だった私の両親

最後の最後で、ものみの塔から私を守った両親

バプテスマと呼ばれる献身の儀式を受けると、エホバの証人の信者からは○○兄弟と呼ばれる。女性だったら○○姉妹。こうして正式な信者となって組織に献身してしまうと、罪を犯したときの処罰が重くなる。

背教行為や輸血※は無論のこと、未婚のままに性行為に及んだり、喫煙が見つかったりすると組織からの排斥処分になる。献身していない正式な信者でなければ、親にこっぴどく叱られて終わりなのだが。
(※2023年4月追記、輸血は排斥でなく、自らエホバの証人を断絶したという自動断絶になる。恐らく元信者を忌避することの人権問題対策のため)

私は14才の秋に両親にエホバの証人をやめると告げた。小学校高学年から中学2年生の秋まで悩み続けて出した結論。私はものみの塔に献身していなかったので、エホバの証人をやめたあと、背教まがいのことを口にしても、排斥になることはなかった。

私としては、一生エホバの証人組織に戻るつもりは無かった。なので、排斥になっても何の問題も無かった。しかし、両親はいまだにエホバの証人信者であり、ものみの塔による強烈なマインドコントロール下にあった。その両親にしてみれば、私の排斥は由々しき事態。

排斥処分はエホバの証人的村八分。家族であっても排斥者に対して必要以上の接触は禁止されている。また排斥となれば、組織への復帰に時間を要する。そのため、ハルマゲドンを生還し、楽園で家族一緒に永遠に生きるというのは難しくなる。

復帰に向けて動いている間にハルマゲドンが来るかも知れないと、私の両親をはじめ当時のエホバの証人はハルマゲドンの緊急性を感じていた。

突拍子もない、バカげた話だが、マインドコントロール状態にある両親にとっては本気。一人息子の私を何としても排斥にするわけにはいかなかった。こうして私のバプテスマは両親により先延ばしにされていた。

皮肉なことに、私はエホバの証人だった両親によって、ものみの塔へ献身する馬鹿げたバプテスマの儀式から守られていた


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