『星の子』~計算された後味の悪さ、宗教2世問題の本質

宗教2世問題の本質とは

宗教2世がテーマの邦画『星の子』、AmazonのPrime Videoでプライム会員無料になっていたので、早速視聴。ゴリゴリにネタバレするので、未視聴の方はご注意を。

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キャストは豪華で、芸能事情に疎い私でも知っているキャスト多数。主人公は中学生で、アラフォーの私が忘れかけていた感覚がキッチリ描かれている。

今どき中学生が果たしてこの映画みたいなのかは分からないが、この年頃の子供が持つ普遍的な感覚は映像から匂いで伝わってくる高レベル。

なのだが・・・

 

 

以下、本当にネタバレ

 

 

なのだが、後味は悪い。主人公が最後まで救われなかったから。エンディングまでに詳細を語られない方式なので、解釈次第では、主人公の洗脳が解け始めている、もしくは解放済ともとれる。

宗教2世の問題は、本人の洗脳も大いにあるのだが、最大問題は保護者との関係。その保護者と肩を抱き合って終わるというのは何とも。

そして、その保護者は一切、マインドコントロールからの解放の気配がない。それでも主人公を深く愛している、または愛しているつもりというのが、宗教2世問題の本質。

エホバの証人の親は思考停止洗脳状態の「親のような者」

家族の無条件の愛を感じるにはエホバの証人をやめるしかない

カルトをぶっ潰さない後味の悪さも計算ずく?

私みたいに主人公が冷酷非道に親を切り捨て完全脱会、保護者のマインドコントロールが解ける、組織の裏が暴かれる、幹部信者の圧倒的没落といったカタルシスを期待していたのだが、この映画はここまで至らず消化不良。

完全マインドコントロール下にある両親は、カッパみたいな儀式を行っていて、このくだりで爆笑した。主人公にとってはどん底シーンだったのだが、直後に両親が風邪を引かないのは宗教のおかげなのではなく、バカだからかも知れない可能性が提示される。ここでも連続して爆笑。

宗教2世にとって最悪の事態が起こった直後だったが、笑いと若さの癒しがあり、全体的な後味の悪さを中和。映画としてはこういった問題提起のステージに留まる方が良いのだろうか。観たものに考えさせる。答えを急くのではなく。

私に言わせれば、高額水を売りまくり、家族を崩壊、両親に衆目の前でカッパの儀式を行わせる宗教はカルトに違いない。映画の中では、このカルト集団をぶっ潰して欲しかったのだが。原作もあることなので、この程度が妥当だったのかとも。

ある程度の後味の悪さも、意図されていることなのかも知れない。


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