『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話』
エホバの証人2世の境遇を描いたコミック。紙書籍版は中古しか販売されておらず(執筆当時2021年1月)。電子書籍版なら端末を覗かれない限り、読んでいるのを知られないので、現役信者の方にもおすすめ。
エホバの証人というのは、自称キリスト教系の新興宗教。2世というのは、宗教2世信者のことで、親の宗教を強要された子どものこと。私も、本書の作者と同じようにエホバの証人2世だった。
エホバの証人組織は、教団外の本を読んではいけないと信者に言うが、それは自分たちの主張を守るための情報統制。マインドコントロールの手段。自分から知ろうとしない限り、真理はあなたの元にはやってこない。
この本は危険でもないし、本ブログのようにエホバの証人組織に対して攻撃的・真っ向から批判しているわけでもない。コミックなので読みやすいし、絵柄も受け入れやすい優しいタッチ。
エホバの証人2世の気持ちを代弁する本
読んだ感想。このコミックはエホバの証人2世信者の気持ちをよく表現しており、私にも思い当たる所が多く。
- 屈辱的な日となるクリスマス
- 誕生日
- クラスメイトの家の呼び鈴を鳴らすときの恐怖心
以下、本書より引用。
鞭は痛くて怖くて恥ずかしい気持ちになります
今でも死生観がゆがんでしまっている
鞭というのは、エホバの証人の体罰「懲らしめ」のこと。死生観はエホバの証人の唱える終末論の影響。
作者の家は父親が信者ではなかったので、作者の洗脳は薄かったよう。そのため、まだ10代の間に楽園というエホバの証人の嘘を見抜いていた。本人の知能が高いというのもあるのかも知れないが。
私は、両親がエホバの証人という最悪な状況で育つ。おかげで洗脳はマックス状態。自らエホバの証人をやめた後、20代になっても教団の洗脳下にあった。
明日にでも教団が予言しているハルマゲドンで死ぬと思っていたので、怖いものなど何もなかった。一般道で180km出して車を走らせていても、チンピラ相手に何人もに囲まれても、死が身近だったので平気だった。いわゆる無敵の人状態だった。
あるとき、ふとしたことで私の洗脳が解ける。不慮の事態が起こらなければ寿命を全うできると気付いたときの脱力感は大きかった。それ以降の私の人生は間の抜けたモノになった。
私がエホバの証人をやめたのは、永遠の命よりも限りある人生に意味があると思ったから。そんな昔のことを思い出した。
現役2世信者で地獄の底にある人、または、脱会して何年もたった人でも共感できる本。
また、最初から読み進めるとエホバの証人とは何か、よく分かる構成。身の回りに突如、エホバの証人が出現して戸惑っている人にもおすすめの一冊。
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