エホバの証人2世のできなかったこと、共感と本音トーク / 元エホバの証人2世のいる場所

エホバの証人2世の幼なじみ

私はほとんど生まれながらにしてエホバの証人2世として育てられた。幼稚園や保育園といった幼児教育は受けず、母にエホバの証人の布教活動に連れ回される日々。

幼なじみと言えば、同じ境遇にあるエホバの証人2世だけ。その中でも一番仲の良かったのはサツキ君というエホバの証人2世の子どもだった。

私は小学生の途中で田舎に引っ越しているので、エホバの証人2世の幼なじみもいなくなってしまった。しかし、引っ越した後でもサツキ君を始めとする以前のエホバの証人の子どもたちの近況は何となく伝わってきていた。

そして時がたち、私は14才になる年に自分の意志でエホバの証人をやめる。幼なじみのサツキ君も、似たような時期にエホバの証人をやめたと噂で聞く。

サツキ君と私の2人で相談してエホバの証人をやめるということも考えられなくはなかった。しかし、そのタッグを組むにしては、我々の住む場所の距離は物理的に離れすぎていた。

私の家庭は両親がものみの塔に献身していて、父は長老というポジションに就いていた。母も狂信的な正規開拓奉仕者という立場。

対して、サツキ君の家は、父親がエホバの証人に対しては協力的ではあるものの、献身まではしていない状況。我々の家庭環境は異なっていた。

結局、私は自分一人で考え、熱心なエホバの証人だった両親と決別。エホバの証人をやめる。全て単独行動。

近くにいる同年代のエホバの証人2世たちには一切相談しなかった。相談すれば、すぐに親を通じて、私の計画が両親に密告されるのが目に見えていたから。

エホバの証人をやめた後、両親との関係をどうしていくか。それがエホバの証人2世にとって大きな課題。そういったことを相談できる友人関係をエホバの証人2世の間で築くことは難しい。

エホバの証人2世は自分の気持ちを押し隠して成長する。厳しい教理により一切の希望が叶わないから。

自分の気持ちを秘めるのが常なので、友人に対しても本音で話すことができない。友達だけではない。恋人や配偶者に対しても、腹を割って話せるようになるのには時間を要する。

結局、私は誰に相談することもなく、自分ひとりで考えてエホバの証人をやめるプロセスを実行した。

両親に、「今日からエホバの証人の集会に行かない」と告げることから始め、後は徹底抗戦。エホバの証人活動の何もかもをやめ、教団のすべてを否定した。

この過程で、私と両親の関係は微妙なものになっていく。お互いに何も話すことができなくなってしまった。

数年後、何らかのきっかけで父のマインドコントロールが解ける。この原因すら私は知らない。

いまだ深いマインドコントロール状態にあった母と、教団の支配から自由になった父は離婚することになる。いわゆる信条の違いが原因。後に母のマインドコントロールも解けたのだが、この期間に私にはできることがあったと、今になっては思う。

結局、私が何もしないまま我が家は一家離散。

エホバの証人をやめる際に、両親と徹底的にやり合ったので、それ以降両親とは突っ込んだ話ができなくなってしまった。

両親がカルトにマインドコントロールされているという、エホバの証人2世特有の悩みを、2世信者の誰かと相談できていたら、結果は違っていたのかも知れない、と考えている。

とはいえ、それがブレーキになったこともあった可能性もあり、人生何が正解が分かりはしない。未来のことを考えるしかない。そして、揺らがない私の信念は、エホバの証人は脱会あるのみ。