『みんなの宗教2世問題』宗教2世の癒しと回復、元より強く美しくなれる

「毒宗教」エホバの証人

『みんなの宗教2世問題』2章『宗教2世・海外での最新研究状況』より。

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英語圏では「毒親」のように「毒宗教」といった言葉が頻繁に使われている

「毒宗教」使っていこう。「毒宗教」エホバの証人。

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自分の親を「毒親」と呼ぶのにためらいがある人がいるように、自分が所属していた宗教や教団を「毒宗教」や「毒教団」と呼ぶのにためらいを感じる宗教2世は、確実に存在する

毒は毒だからね。毒を毒と認識できるようになるのも、癒しや回復の過程。

宗教2世の癒しと回復

同章で著者は

キリスト教で傷ついた人がキリスト教で回復できるのかという問題に関して、筆者には疑問が残る

と書いている。私も同感で、キリストはもうお腹いっぱい。

さらに、海外のカルト宗教2世の事例紹介。この事例はエホバの証人ではないが、共通点は多い。

自分自身の回復のために努力しはじめた私にとって、娘は通訳のような存在になりました。私の体を構成するすべての分子が娘の権利を信じきっていて、私も少しずつ、それらの権利が私のものだと信じられるようになりました

宗教2世だったために、自分自身が持たなかった人権が、自分の子どもを通じて当然のモノだったと気づく。これが癒しの過程。自分の子どもは、当然その権利を持つし、自分自身も当然持つべき権利だったと思い至る。

他人の計画に道を塞がれることなく、自分らしさを発見できる子であってほしい。自分が誰かのためにどうやって役立つかということはどうでもよく、自分が誰なのかということを重要にしてほしい

自分の人生は、親や保護者のモノではなく、当然、教団のモノでも、神のモノでもない。自分の人生は自分のためにある。

この当たり前の事実に気づき、人権を取り戻す助けになったのが、自分自身の子どもとの出会いだった。こういった事例が本章で紹介されている。

宗教2世の強さと美しさ

日本では認識不足の「宗教的トラウマ症候群」。

宗教は大きな個人的苦痛をもたらしうること、家族の分裂や社会関係の壊滅を引きおこしうることを専門家は直視しなければならない

社会も専門家も知らないのか、見たくないから見えていないのか、宗教が一個人にとって巨悪になり得ることを知っているのは、被害者だけ。

この被害者の、実は強くなれる可能性が本章の末尾で示唆されている。

私たちの傷は、その後の回復をつうじて金や銀で補修されていき、結果として全体のたたずまいは、私たちが傷を負う前よりも魅力的になっている

宗教の強要というのは、余計なできごと、苦しい体験、不要な経験だったけれど、それら一部だけを自分の人生から取り去ることはできない。ならば、せめてその忌まわしい過去が自分を強くしていると信じたい。


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