エホバの証人老婆の悲しい妄想～油注がれちゃったという勘違い / 元エホバの証人2世のいる場所

エホバの証人の主の記念式とは

私が子供の頃、エホバの証人2世として王国会館という集会所に連行されていたときの話。1990年代前半。ある年の主の記念式から、急に聖餐を食べ始めたエホバの証人の老婆がいた。

主の記念式とは、エホバの証人にとって年に一度の重要な式典。信者たちは、年に一度、この日だけは着飾って王国会館に出かけて行く。女性信者はドレスアップしたり、派手目な振袖を着ていたりと様々。

記念式で信者の間に回されるのが、無酵母パンと混ぜ物のない赤ワイン。回すと言っても、信者は誰もそれを口にしない。回ってきたパンの乗った皿を手に取り、そのまま隣の人に渡す。ワインも同様で、回されるグラスを受け取り隣の人に渡すだけ。

このパンはキリストの肉を表し、赤ワインはキリストの血を表すという設定。これらのキリストの表象物に”与かる”ことが出来る人々は限られている。

死後に天に昇り、キリストと共に地上を統治する油注がれたと言われる人々だけ。荒唐無稽な話だが、本人たちは至って真剣。

エホバの証人の主の記念式で聖餐を食べるということは、自らが神により油注がれ、選抜された存在であることの表明。本人は死後に昇天し、十二使徒を始めとしたとした聖者と肩を並べ、キリストの隣に座るつもり。何たる傲慢。

私が子供の頃、新しく油注がれた（つもりの）エホバの証人老婆。彼女は、もう何十年も狂信的に教団に仕えていて、正規開拓者と呼ばれる布教活動に従事していた。

正規開拓者とは、年間1000時間以上もの時間（1990年代後半当時、2021年現在では800時間）を無償で教団の布教活動に捧げる狂者の集団。その老婆信者は会衆内のエホバの証人全員から一目置かれるほどのベテランで、「あの人が油注がれたのか、なるほど」という雰囲気。

会衆内で最も多くの時間と財産を教団に捧げた。そう思われて当然だろう。しかし、日本だけでもエホバの証人の会衆という地域毎の単位は3000ある。各会衆で一番”熱心”な人が選ばれると、人数は国内だけで3000人になる。

油注がれちゃう人の総数は14万4000人と決められている。いくら会衆内で一番マインドコントロールされているからと言って、そう簡単に油注がれていたら、きりがない。

また、この油注がれた人々の選別は1世紀から始まり、現代まで続いている設定。さらに、エホバの証人は全世界で活動していることを誇りとしている。ということは、1世紀以来現在まで、世界中で油注がれた人の数で14万4000人となる。

現在のエホバの証人の各会衆から1人昇天などというレベルの人選は有り得ない。日本国内の現在だけで、14万4000人のうちの何千人も油注がれた者がいるという矛盾が生じてしまうため。

そもそもエホバの証人の教理では、昇天組の顔を見ることすら難しい人数設定。会衆1人ペースはエホバの証人の設定的にも無理がある。つまり、油注がれたというのは、狭い世界で生きている老婆の誇大妄想。元々の油注がれた14万4000人教理も強烈な妄想ではあるが。

この頃の私は、ド田舎の会衆に所属させられていた。田舎育ちのこの老婆のエホバの証人にとっては、王国会館が世界の全て。

エホバの証人というカルト宗教にマインドコントロールされ、一生を無駄にしてしまった。その集大成として神の光が降臨し、「私は天に昇るのだ」という勘違いをしてしまった。何とも虚しく、悲しい笑えない冗談話。

よく考えてくれ。牛糞臭いド田舎生まれ、ド田舎育ちの老婆が天に昇って聖人となり地上を統治する？？？勘弁願いたい。