エホバの証人はとりあえず働け
『近現代日本とエホバの証人』、第四章「従順の時代」から。
日本の1980年代のエホバの証人がいかに従順であったか、本書ではものみの塔誌掲載のエピソードを紹介している。
開拓奉仕という、エホバの証人の布教に専念する信者として
情報処理の教師職を退職し、牛乳配達で生計を立てるようになった者
家族を養う立場にありながら「大手の建設会社」を退職した者
退職し、古紙回収で生計を立てている者
首から下が麻痺していても手紙による伝道で開拓奉仕に参加する者
いや、全然美談とかではないですから。逆に無意味を通り越して有害。
仕事辞めればいいみたいになっているけど、仕事辞めてカルト活動して、得をするのはカルトの内部の人だけ。
勤労の義務を果たさないことで、本人、本人の家族、本人の住む国に対して、多大な迷惑をかけている。さらに、有害なカルトの布教をおこなうことで世界に害を及ぼしている。
本人だけが気持ち良ければいいという話ではない。他人に布教・勧誘している時点でさらなる被害者を拡大する可能性があり、それだけで罪。
カルト信者とはいえ、山の中に一人で住んでいるわけではなく、公共の福祉サービスを受けている。ならば国民の義務を果たすべき。有害なカルト活動してないで働けと。
エホバの証人の組織主導の人生放棄
1980年代の日本にこういった従順エホバの証人が大量発生してしまった背景には、エホバの証人組織が誘導していた経緯がある。
男性信者においては、扶養すべき家族がいる場合にも、職を辞して開拓奉仕に参入することや、長老においては「王国宣教学校」出席のために失職するリスクも厭わない態度が誉れあるものとみなされていた
エホバの証人組織側は決して強要したり指示した訳ではないというスタンスなのだろうが、カルトに騙される脆弱な人間には選択肢はない。
「仕事を辞めて全時間を神に捧げた方がいい、無理にでも仕事を休んで参加するのが勧められています」と言われれば従ってしまう。
その段階で思考する能力があれば、当初からカルトに引っ掛かっていない。
エホバの証人は組織の戒律を破れば実質の死刑宣告。来たるハルマゲドンで神に滅ぼされるという設定。ふざけた冗談話なのだが、これを真に受けているのがエホバの証人。
信じ込んでいるエホバの証人にとっては、死刑宣告を受けるのは何としても避けたい。死刑から遠ざかるために神の是認を受けようとする。神の是認を受けようとすればするほど、エホバの証人は組織の言いなりになる。
そうして仕事を辞め自身の人生を放棄。カルト活動に全力を傾け、奈落の底へ一直線。