古来から騙され続けてきた人々
近未来の(今となっては既に過去設定だが)仮想全体主義国家を描いた『1984年』。本ブログの主旨であるエホバの証人というカルト宗教のなかの世界にそっくりだと思いながら読む。
著者自らが書いた巻末の附録、作中で使われるニュースピークという言語の設定を解説したもの。解説と言いながら未来からニュースピーク当時を振り返る書き方がされていて不思議な部分(ここは解説に詳しい)。この附録にエホバが登場する。
党員に必要とされたのは、自国の民以外の民は「邪神」を崇拝しているということ以外、他のことをほとんど知らなかった古代のヘブライ人と同じようなものの見方をすること
党員はエホバとエホバによる十戒を知っており、それ故、他の名前や他の属性を持った神は邪神であることを知っていたのである。
自分の知っているもの以外が全て邪であると信じるのは凄まじく危険。そう信じたが最後、他のものは一切目からも耳からも入ってこない。
様々な思想や神がある中で、最初に巡り知ったものが聖であるという偶然。ないない。その信じたい偶然を「神の導きで」とか言っているから騙されちゃう。
「いろいろ試した結果、これしかないと思いました」と言っている奴も大して変わらない。その思考状態で一択、聖を選びとれる訳がない。一長一短あるけど暫定ランキングで一位はこれ。というのが正しい。今の決断は今の段階においてベストというだけ。順位は入れ替わる。
邪悪なものを見極めるには・・・
実は宗教・思想・知識人など、一発で偽者を判別しランキング圏外にはじける簡単な方法がある。
「自分以外の全てのものは邪」
こう言っている奴は間違いなく偽者で、そいつ自身が邪。自分以外の神権を否定し、民を搾取するための邪神の妄言にすぎない。
もっと穏やかでユーモアのある他の神に人気を奪われないために、「他の奴らは偽者だから顔を向けてもいけない」と先に釘を刺している。自信の無さの表れ。
これは人間組織でも同じで、「神の用いるただ一つの組織」とか「唯一の真理」、「他の宗教はすべて異教」とか言っちゃっている組織はアウト。その瞬間で偽者確定。唯一の真理は唯一の真理なんか存在しないこと。
そういう意味ではエホバ、アウト。ものみの塔、アウト。邪悪な神と邪な組織。