エホバの証人の子どもが戦隊物を禁止される非合理的な理由
私は物心つくと同時にエホバの証人2世として育てられた。エホバの証人の子どもには禁止事項が多い。信者の親によって、ものみの塔の教理をガチガチに当てはめれた生活を強要されるから。
まず、子どもが大好きな仮面ライダーや戦隊物のテレビは見ることができない。こういう番組は、基本的に悪の組織を倒すために戦う。エホバの証人はこういう戦い、暴力といった情報に触れることを制限される。
なぜなら、エホバの証人が使っている新世界訳聖書には
彼らはもはや戦いを学ばない
という記述があるため。
このため、暴力的なテレビ番組は一切見ることが許されない。
ペテロ君の強烈な一撃
ヒーロー系の番組では、正義の味方が悪の組織を倒すのだが、この点はエホバの証人的にも問題ない。神は正義、サタンは悪というものみの塔の教理と一致する。
勧善懲悪の手段が暴力なので、エホバの証人の子どもは暴力的な番組を禁止される。
ところが、旧約聖書中の登場人物たちは剣を持って戦っている。キリストが捕まる直前にも、ペテロは剣で捕獲に来た兵士の耳を切っている。
後の聖人ペテロ君は、敵の兵士の頭部を狙い、一撃で耳を切り落とすという強烈な攻撃を放っている。
この行為はキリストにたしなめられたのだが、そもそも十二使徒の一人が剣で武装していたのは事実。
一方で、エホバの証人の子どもは新聞紙で刀を作るだけでも親に怒られる。この矛盾をきっちり説明できるエホバの証人はいない。子どもの頃の私のこの疑問に、親を始め、納得のいく回答をできるエホバの証人はいなかった。
元エホバの証人が初めて撃つ水鉄砲
私がエホバの証人をやめて、25年は経つ。その間、わが家にも子どもが生まれた。私は、極力子どもの自主性を重んじるようにしている。エホバの証人の親として、私にものごとを強制しまくった両親を反面教師にしている。
3才のわが子が欲しがった玩具があった。夏祭りの体験イベントで遊んで気に入った水鉄砲。後日、100円均一ショップで買ったのだが、私は、こんな安っぽい水鉄砲に特別な感慨を覚えた。
モデルガンとか水鉄砲は私の子どもの頃は禁止だった。指でピストルの真似をするのも禁止、輪ゴムをピストルみたいにして飛ばすのも禁止だった。理由は私がエホバの証人2世だったから。
水鉄砲を子供に買ってあげて、一緒に遊ぶ。「こんなモノのどこが暴力的なんだか・・・」と思いながら、子どもと水を撃ち合う。そして私はあることに気付く。私が水鉄砲を持ったのは、今が生まれて初めてだということに。
私がエホバの証人をやめたのは14才になってからのこと。そのため、エホバの証人をやめて自由になったとはいえ、子ども向けの玩具に触れる機会がなかった。
エホバの証人をやめて、それまで禁止されていたモノに進んで手を出し始めたのだが、喫煙とかポルノ、ホラー映画など大人向けのモノばかりで、子ども向けのモノに手を出す暇も興味もなかったから。
40年生きてきて、生まれて初めて水鉄砲を撃った。何とも窮屈な子ども時代を送っていたものだと、昔を思い出す。今、私は過酷だった自分の幼少期を、愛する自分の息子と一緒にやり直している。小さな水鉄砲が、そんなことを私に考えさせてくれた。
“元エホバの証人2世が初めて撃つ「水鉄砲」、過酷な幼年期のやり直し” への1件の返信