エホバの証人の恐怖心を利用したマインドコントロール
私は、ほぼ生まれながらにしてエホバの証人2世として育てられた。
エホバの証人というのは、自称キリスト教系の新興宗教。2世というのは宗教2世被害者。親の1世信者の信仰を強要される子どものこと。
私は、中学2年生のときに自分の意志でエホバの証人をやめる。両親は、そのときも熱心なエホバの証人だったが、私の脱会後も大人になるまでは養育してくれた。(これは、あたりまえの感覚だが、宗教一家だとそうでもない。宗教脱会=勘当なんてこともあり得る話)
しかし、私が就職して家を出た後、両親は離婚。エホバの証人のことが離婚の原因になっている。これがもう15年も前の話。
7~8年前の段階で、父は完全にエホバの証人の教理の偽りに気付いていた。
「お母さんはまだ宗教やっているのか?」と、私に聞くほどにエホバの証人のマインドコントロールから解放されていた。
この頃、母はエホバの証人のマインドコントロールから抜けきっていなかった。しかし、エホバの証人との接触はやめ、教理を遵守することは既にやめていた。
この時期、「とある恐怖心を抱えている」と、母から聞いた。エホバの証人の教理を守っていない自分が、いつか突然に雷に打たれて死ぬというイメージ。ハルマゲドン、裁きの終わりの日に落雷で罰せられて死ぬということ。
不思議なことに、私も洗脳から解放されるまでは、似たような恐怖のイメージを抱き続けていた。親子揃って、エホバの証人の恐怖のイメージで縛り上げられていた。
母からその話を聞いたとき、私の洗脳は解けていたのだが、かつて自分の抱いていたイメージとの類似に驚き、曖昧な返答しかできなかった。
思い出したくない「エホバ」というキーワード
その母と、最近話したのが私の子ども時代のこと。母は、私のことを「普通の環境で育てられていたら良かった」という言葉を漏らしていた。母も既に、エホバの証人のマインドコントロールから脱していると考えても良いのだろう。
両親とも、私とエホバの証人のことについて深く話すことがない。私も含めて家族全員が、「エホバ」というワードを避けている。
エホバの証人の教理の矛盾に気付き、自分が脱会しても、父は母に同じようにエホバの証人をやめさせようと干渉しなかった。なぜなら、
エホバの証人のことや「エホバ」というキーワードに触れたくない。言いたくもない、聞きたくもないから。
ゆえに夫婦と言えども、脱会するように干渉したりすることができない。自身の傷を覆い隠すので精一杯。
かつての私も同じだった。
自分がエホバの証人だったを思い出すのが嫌。同じ道に引き込んでしまった無垢の人々への罪悪感。ぼんやりと薄い意識の中で過ごした信者期間のことは、悔やんでも悔やみきれない。取返しのつかない時間と大きな経済的損失。