エホバの証人2世(JW2世)少年の恋愛、そして修羅場

不都合の多いエホバの証人2世の恋愛

私が小学校6年生のときの初恋の話。私は初恋相手に対して、強烈な執着心と独占欲を持つようになっていった。

この独占欲と執着心は、私の持論によると、生まれながらにエホバの証人の2世信者として育てられた影響。

エホバの証人とは、ものみの塔聖書冊子協会が国内の運営主体となっている自称キリスト教系の新興宗教。2世信者とは親の信仰を押し付けられた子どものこと。

エホバの証人という宗教には禁止事項が多い。私は子どもの頃から「あれもダメ、これもダメ」と、テレビゲームもクラブ活動も、一般の友達と遊ぶのも、何もかもを禁止された。

抑圧の反動で、小学校の高学年になると、モノだけでなく初恋相手にも独占欲、執着心を強く抱くようになっていた。

引き下がれなくなった私は意を決めて告白に至る。周囲の女の子に根回しをしてもらってラブレターを書いた。親に見つかれば、とんでもない懲らしめが待っているだろうし、実際に交際するにしても、どうするかビジョンが全く無かった。

懲らしめというのはエホバの証人の親が行う体罰のこと。ものみの塔の戒律に逆らうと、エホバの証人の子どもは親に体罰を受ける。ベルトでお尻を直に10回とか、かなりの痛みを伴うもの。

エホバの証人は、男女の交際に対して厳格で、大人になってから正式な信者同士でないと交際は認められない。大人の信者でも様々な制約を伴う。エホバの証人2世の子どもがラブレターを書くなんて、許されるわけが無かった。

それでも私は、とりあえず前へ進むことしかできない状態だった。強烈な独占欲と執着心に支配されていたから。他にその女の子を好きな同級生がいるらしいという噂を聞いてから、立ち止まることができなくなった。

待望のラブレターの返答はOK、「私も好きだ」というようなものだった。

一旦は上手くいったものの、小学生の私には、その後の子どもっぽい交際というモノが上手くできなかった。

相手から誕生日会やクリスマス会に呼ばれても、堂々と行くことは出来ない。ほぼすべてのイベントはものみの塔の戒律で禁止されているから。

せめて可能だったのが、親に隠れてのプレゼントの交換くらい。クリスマスや誕生日、ホワイトデーといった行事ごとに隣町までプレゼントを買いに行った。宗教的な罪悪感や、親に対して隠し事をしている居心地の悪さを感じながら。

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息子の恋愛さえも宗教勧誘の道具にするエホバの証人

そうしている間に都合の悪いことが起こり始めた。その女の子の母親に対して、私の母がエホバの証人の勧誘を始めたのだった。勝手に布教活動に行って、断られて帰って来てくれたら良かったのに、先方の母親が多少なりとも食いついてしまった。

そのため、私の母が足繁く通い、エホバの証人の言うところの聖書研究が行われていた。先方にしてみれば、娘が好きな男の子との、母親間の付き合いという側面が大きかった。

この頃の私は、エホバの証人が家族や人格を崩壊させるほどの悪教であるとは気付いておらず、真理である、真実であると思い込んでいた節がある。幼い頃からの洗脳は恐ろしい。ちょっとした客観的視線を挟むことすら出来ない。

しかし、今になって考えてみると、これは修羅場とも言える絶望的な状態。自分の母親が、好きな女の子の家庭をカルトに引きずり込もうとしている。強烈な罪深さと最低最悪な状況。

深いマインドコントロール状態にあった私の母は、子どもが同級生という要因を利用して、相手の家族をエホバの証人の世界に引き入れようとしていた。


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