ハルマゲドン、まだですか?
西暦2002年、「ハルマゲドン遅くね?」の疑問を解消するために、私はインターネットで「エホバの証人 残りの者」と検索した。
ハルマゲドンとはこの世の終わりのこと。私がハルマゲドンの勃発を信じて疑わなかったのは、エホバの証人という宗教に洗脳されていたから。
エホバの証人というのは、「ものみの塔」という呼び方でも知られる米国由来のカルト宗教。信者はハルマゲドンという終末思想にマインドコントロールされ、人生を搾取される。
エホバの証人は、子どもをもれなくエホバの証人にする。私の両親は、熱心なエホバの証人だったので、私も2世信者として14年間を過ごした。私は14才のときに自分の意志で脱会したのだが、エホバの証人による洗脳が解けたわけではなかった。
きたるハルマゲドンでの死を覚悟し、人生最期の快楽にふけっていた西暦2002年。「それにしても、ハルマゲドンはまだかいな?」と、インターネットでエホバの証人について調べた。
「エホバの証人 残りの者」と検索。エホバの証人の教理では、地上での生き「残りの者」という特別枠が全員死ぬと、瞬時にハルマゲドンが発生する設定になっている。
使徒とリリスが接触したらサードインパクトが起こるあの感じ(分からない人は気にしないで・・・たいした話じゃないので)。
「残りの者」には人数制限があり、老人ばかりなので、ほどなく死に絶えるはずだった。ところが私は、インターネットで「残りの者」の人数が増えていることを知る。
元エホバの証人2世、洗脳からの覚醒の瞬間
「残りの者」が増加している不整合を解くため、私はネットでエホバの証人に関する検索を続けた。そこで私は、ものみの塔の数々の不義を知る。
一番衝撃だったのが、初代ものみの塔協会会長チャールズ・テイズ・ラッセルの墓がピラミッド型で現存しているという記事。
エホバの証人は、異教の墓やピラミッドは禁止。個人崇拝も禁止なので、開祖にあたる会長とはいえ、死後に特別扱いされるのは教理に反している。
他にも出てくる出てくる。ものみの塔にとって都合の悪い真実。こうして、私の生まれながらの洗脳は一気に瓦解し、すべての疑問がつながる。
ハルマゲドンがこないのは当然。ものみの塔のウソだから。
「残りの者」が全員死なないのは、死に絶えるとこの世の終わりが来ないといけなくて都合が悪いから。「残りの者」が絶滅せず、ハルマゲドンがくるくると言っていれば、いついつまでも信者を騙せるから。
ものみの塔がこの世の情報を嫌い、背教者を忌み嫌うのは、それらが悪魔サタン由来の不浄だからというのもウソ。ただ単に、ものみの塔にとって都合の悪い事実を、信者たちにシャットアウトさせているだけ。
私は、エホバの証人たちがバカでダサく見えて、馴染めなかった。一緒にされたくなかったのは当然。全員、無知と無思考、真実を突き詰める探究心の欠如という隙をつかれ、搾取されている愚民だったから。
私の20年以上に渡る洗脳は一瞬で瓦解。
ハルマゲドンは来ない。こりゃ、寿命まで生きられる。オレはオッサンになるまで生きられる。それどころか老人になるぞ。このオレが。
洗脳解除のスッキリ感、今すぐ不条理には死なないという幸福感、人生は長いから、今後どうしたら良いのかという不安。様々な感情が心の中で渦を巻く。
今まで、明日にでもハルマゲドンで死ぬと思っていた。将来を見据えた生き方を全くしてこなかった。
前半生のすべてを搾取され、家族を崩壊にまで追い込まれたものみの塔への怒り。14年間のエホバの証人活動や、両親の20年近い活動が全て無駄。しかも存在しない架空の神に対する盲信だった。この徒労感、圧倒的虚しさ。
ぐるぐると様々な感情が巡り、軽い興奮状態。
とりあえず酒でも飲むかと、街へ出たのだった。
家族全員でものみの塔というダークサイドに堕ちた、薄曇りの日曜の午後から20年後。私の洗脳が解けた。2002年、とある日曜日の午後のこと。
一家でものみの塔に堕ちた、20年前の日曜日の午後の記事は、3才にして、父親をエホバの証人に引きずり込んだ子ども
“元エホバの証人2世、20年後の日曜日に洗脳から覚醒” への2件の返信