エホバの証人2世にとって高い両親の壁
私はほぼ生まれながらにしてエホバの証人2世として育てられた。エホバの証人というのは、ものみの塔聖書冊子協会という宗教法人で活動している自称キリスト教系の新興宗教。
私はその2世信者。親によって宗教を押し付けられた子供。両親は異常に熱心なエホバの証人だった。
私が大人になったら、ものみの塔協会に献身※1して開拓奉仕※2をするのは当然と、両親は考えていた。あわよくばベテル※3に入って奉仕するというエホバの証人的エリートコースを歩ませたいとすら。
そんなものはエリートコースでも何でもなく、廃人となって野垂れ死に一直線の墓場までの片道切符。ただ両親が強く願っていたので、私もそうするべきなのかという気になりつつあった、小学校高学年の頃。
両親という壁は高い。両親に愛されたいという思いで、子供は親の願い通りの自分になろうとしてしまう。
しかし、私の「模範的」なエホバの証人になろうとする努力は長くもたなかった。やはり、どうしてもエホバの証人には許されない行事や立ち入りが許されない場所に関心があった。
クリスマスパーティーに参加してみたかったし、ゲームセンターにも入ってみたかった。それ以上に何よりも性の問題を解決しなければ、私は真のエホバの証人にはなれなかった。それは私にとって無理な話だった。
※1献身:バプテスマというカルト儀式を受けて正式信者になること
※2開拓奉仕:年間1000時間(最近では800時間、コロナ禍では時間制限なし?)をエホバの証人の布教活動に費やす自称伝道者のこと
※3ベテル:エホバの証人の日本支部本部のこと
エホバの証人2世の抑えきれない欲求
女の子と付き合いたいという私の欲求は、小学校高学年の頃から高まり始めていた。結婚とかは考えてもおらず、普通に恋愛がしたかった。しかし、それ以上に私は性の対象として異性を欲していた。
エホバの証人2世であるという現状では、異性への欲望が解消されるはずがなかった。エホバの証人にとって婚前交渉は重罪。エホバの証人2世の小学生や中学生に異性との交際が許されるはずがない。しかし、
どうしても異性への興味を抑えきることは出来ず、私は習慣化していたマスターベーションをやめることは出来なかった。これでは立派なエホバの証人となることなど不可能。ものみの塔の教義ではマスターベーションは禁止だから。
この年頃の男の子にとって、異常に強い性欲は普通。エホバの証人2世の場合は性に対する知識を小さな頃から植え付けられている。ものみの塔の露骨な性教育の影響。頭でっかち状態で性欲はさらに強烈な欲求になる。
大人になってもそれは持続しかねない。エホバの証人2世は何も与えられなかったので全てを欲する。街ゆく異性の全てを欲する。これは性に関することだけでない。
流行ったテレビゲームは全てクリアしたいし、テレビドラマも人気作は昔にさかのぼって全て見たい。ギャンブルも酒もタバコにも手を出したい。何から何まで禁止されていたことをやり尽くしたい。