無関係に引用して、曲解するエホバの証人の非科学的記事
エホバの証人の初学者マインドコントロール用の教材『いつまでも幸せに暮らせます』のレッスン06『生命はどのようにして始まった?』。
ここの参考教材「見てみよう」の部分にある『生命の起源 ― 5つの大切な質問』。
『生命の起源』の末尾に参考文献が掲載されている。理解を深めるためには本文だけでなく、参考文献にもあたるべき。
エホバの証人の聖書にも「すべてのことを確かめなさい」と書いてある。
というわけで、National Geographic, “Fossil Evidence,” November 2004, p. 25.
NATIONAL GEOGRAPHIC (ナショナル ジオグラフィック) 日本版 2004年 11月号が手元にある。
エホバの証人の『生命の起源』がナショナルジオグラフィックを参照しているのは「質問4 すべての生物は共通の祖先から出たのか」の次の部分。
ナショナル・ジオグラフィック誌(英語)の2004年の記事は,化石記録を「1,000コマにつき999コマが編集でカットされた,進化の映画」に例えています。この例えから,どんなことが言えるでしょうか。
エホバの証人の記事ではまず、なぜか1,000コマを100倍にする。
全部で10万コマになる長編映画のフィルムのうち,100コマを見つけたとしましょう。その100コマから,どのように映画のストーリーを推測するでしょうか
まあ、ここまでは良い。続きが
化石記録のうち“95コマ”は,動物の一形態から別形態への進化を示してはいないのに,なぜ古生物学者は残りの“5コマ”を並べて,進化が生じたと述べるのか
勝手に100倍にして、そのうちの5コマしか進化の形態を示していないとしている。エホバの証人の記事は以下のように続ける。
ほかの95コマも考慮に入れるほうが理にかなっているのではないでしょうか
ツッコミどころ満載なのだが
- 5コマが進化の形態を示しているのなら、それで十分だろ。進化しているんだよ
- 100分の95が進化の形態を示していないとは、引用元は言っていない。カットされた、つまり見つかっていないと書いているだけ。
- 引用元は、見つかっている化石1000分の1が進化の証拠だとしている。見つかった分100のうち95が進化の非証拠だというのはエホバの証人の勝手な主張にすぎない
こんな間違った主張の根拠に引っ張り出されるナショナルジオグラフィック誌が気の毒だよ。
進化論への攻撃は、創造論の証明にはならず
このエホバの証人の記事、グダグダと進化論の粗探しをしているが、それが事実だとしても(本記事で指摘したように事実ではないのだが)、創造論の裏付けにはならない。
進化論をいかに攻撃しようが、創造論の証明にはならない。
チャールズ・ダーウィンは以下のよう書いている。
創造論者は、
種は変わると信じている者たちに対しては、あらゆる難題に完全に答えることを当然のように要求する。ところが自分たちは、種が最初に出現したときのことをめぐるすべての問題について、厳粛な面持ちで無視を決め込んでいる
創造の瞬間の科学的証拠なんて一切ない。創造主はいったいどこから来たんだよ。「神は永遠?」そんな非科学的なこと言っている奴らが、「科学的」証拠をでっち上げて進化論を否定してんじゃねぇよ。
今日は、エホバの証人が引用しているナショナルジオグラフィック誌には触れずに、エホバの証人側の矛盾、引用とは無関係な曲解について書いた。
明日の記事では、ナショナルジオグラフィック誌からエホバの証人側の記事を批判する。
“ナショナルジオグラフィック誌から曲解した引用をしているエホバの証人” への1件の返信