宗教2世「被害者」からの脱出
2023/8/7放送、NHKの『事件の涙 私の人生を生きていく 宗教2世「小川さゆり」の1年』をようやく視聴。
夏休み中は、小学生の息子がずっと家にいて、こんな番組を見せるのはどうかと控えていた。
視聴後、息子には見せなくてよかったと実感。カルト宗教の不条理に涙する女性の姿。世の中にこんな過酷な現実があるのを知らせるのはまだ先で良くて、今は、親が不条理な世界から守ってやらないと。
逆に、保護者たるべき親から宗教を強要された宗教2世の話。「小川さゆり」さんは1才付近の子どもを抱え、カルト宗教という不条理と闘った。
「小川さゆり」さんのような旧統一教会の2世の場合は、親の結婚が祝福結婚という教団側の斡旋だと、自分の出生理由すら宗教絡みになってしまう。教団の否定は、自身の出まれの否定でもあり、自分自身、共闘する家族にも痛みをもたらす。
宗教の裏と表、光と影というか、外部から闇を照らし正そうとする側と、内部の闇に染まっている側。脱出して外から正そうとしていて、その結果、家族や自分に悪影響が及んだら?
それだと、中にいても外にいても行きつく先は同じ。自分や家族の不幸。カルトの中にいても外にいても、結果が同じになる。
それこそ、元首相暗殺事件の容疑者と同じ。外に対して、教団に対して一矢どころか、何矢も放ったのは良いとしても、自分が不幸になるなら、その人生ってなんのためだったんだ。結局、宗教2世「被害者」のまま。
外部にいながら、宗教2世「被害者」状態に陥らないようにしないと。教団から脱出してまで被害を受け続けるなんて悲劇は、繰りかえして欲しくない。被害者状態から抜け出さないと。
元宗教2世の子育て
番組中、「小川さゆり」さんが子育てに悩むシーンが。
正しくない子育てをされた宗教2世は、正しい子育てが分からない。とはいえ、間違いや不正解の子育てがあったとしても、正解の子育てなんてのはない。
自分がされたようにしない。宗教や価値観を強要しない。宗教が原因で、恥ずかしい思いや、寂しい思いをさせない。自由や人権を制限しない。虐待しない。虐待者に近づけない。
正解はないのだから、できることをやるしかない。やったらダメなことがはっきりわかっているだけいいと、開き直るしかない。
番組内で、「子どもに自尊心を持って欲しい」というような発言があったが、自尊心のない親の子が、自尊心を持つことはないのではないだろうか。
我々宗教2世だって、自尊心を持たないといけない。宗教2世という生い立ちをサバイバルしただけで、充分偉いし、今、生きているだけで充分に立派。間違った子育てをされた人間が、子育てをしているなんて、とんでもなく立派。
「小川さゆり」さんの場合は、1才付近の子どもを抱えて、タイムリーに巨悪と闘った、世の中を正そうとしたのは大変なこと。誇っていいこと。
番組内で、こういった反カルト活動からの「卒業」が示唆されていた。
本人の発した言葉「解散させて下さい」どおりに、旧統一教会に対して解散命令が請求されそうになっている。実際に解散されるかどうかはともかく、「小川さゆり」さんは、勝ち逃げしても良いと思う。
自分と家族のことを考え、まず宗教2世被害者状態から脱することを。
親に強要された宗教だけど、その宗教といつ戦い、いつその戦いをやめるか、いつちょっとひと休みするか、すべて自分で決めていい。もはや宗教を強要された子どもではなく、自由な一人の人間なのだから。
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