宗教2世の脱会時、親に対する罪悪感
『宗教2世』、Session3-3より。『2世たちの、その後』、脱会当時者の声。
親が悲しむ様子を見て、親を裏切ったという罪悪感と申し訳なさで、涙が止まらなかった
これは旧統一教会の2世信者と思われる人の言葉。エホバの証人2世だった私も同じ経験をした。親をエホバの証人に残して脱会したとき、泣きはしなかったが、親を裏切るという思いは強かった。
この葛藤のため、脱会の意思をもってから、脱会するまで3年ほどかかった。小学校高学年から中学校2年生までの期間を無駄にした。
エホバの証人をやめたい自分と、エホバの証人を強要されている自分の違いに苦しんだ。本来の自分でない自分を過ごした時間。取り返しのつかない時間をエホバの証人に奪われた。
子どもに対して、親を裏切るという罪悪感を感じさせるのがカルト宗教。宗教は人生のスパイスに過ぎないのに、ここまでの罪悪感を子どもに持たせる宗教は、この世界に必要ない。
宗教2世が、脱会後に求める過剰なモノ
社会に適応できなくて、2~3年間、アルコールやギャンブルの依存症になった
これも心当たりがある。エホバの証人脱会後は、タバコをやたらと吸っていたし、胃袋がひっくり返るかと思うくらい酒を飲んでいた時期もある。毎日パチンコ屋に通ったり、毎週キャバクラに通ったり。とにかく車のスピードを出して走り回ったり。
過剰なモノを求め、その刺激なのか、快感なのかに依存してしまう。
生まれたときから、こうるさい神に従わないとハルマゲドンで殺されるという過剰な世界を生きてきた。
脱会しても、マインドコントロールが解けなければ、世界はそんな過剰なまま。悪魔が闊歩し、神が世界を焼き尽くそうとしている、まるでデビルマンの世界。ハルマゲドンがくれば、当然、自分も一緒に殺される。
その恐怖から逃げるためだったり、終わり間近の人生をパッと華やかにするためだったり、過剰な何かに依存せざるを得なかった。
コツコツ積み上げる人生に意味があるとは、決して思えなかった。神の気まぐれでハルマゲドンが起きれば、全部奪われるから。
エホバの証人の洗脳が解けた後でも、過剰なモノを求め続ける性向はそのまま。
生まれてこのかた、洗脳が解けるまでデビルマンワールドという過剰な世界で生きてきた。そう簡単にホンモノのリアルな世界に馴染めない。過剰なモノを求め彷徨い、人生を浪費した。
この間、他人を傷つけたり、自分が傷ついたり、家族を傷つけたり、人を陥れたり、嘲ったり。無駄な時間だったのかも知れないけれど、エホバの証人をやめたいのにやめられなかった、辛い3年間に比べれば、各段に楽しい時間だった。
自分で選択し間違い、また選択し間違いを繰り返す期間。気恥ずかしい言葉で言えば「自分探し」の期間。エホバの証人の洗脳下にあったとしても、自分の意思で選択し失敗している。
自分でモノゴトを選択できる権利を取り戻したこの時間は、どんなに辛くとも宗教を強要され選択権を奪われている暗黒の時代に比べれば、格段に幸福だった。