チキラボ宗教2世アンケートの信憑性
数日前に、“宗教2世”は孤独感強く、抑うつ状態の人の割合が高い傾向 大学・大学院進学率は19.0% 民間団体の調査という記事が出た。
「社会調査支援機構チキラボ」が2000人にアンケート調査、そのうち「宗教2世である」と回答したのが21人。この宗教2世21人と残りの2000人弱を比較して、記事中では、以下の結論が示唆されている。
- 宗教2世は、宗教2世でない人に比べて孤独感が強い
- 宗教2世は、宗教2世でない人に比べて抑うつ状態の人の割合が高い
- 宗教2世は、宗教2世でない人に比べて高学歴者が少ない
というか、直感的に宗教2世のサンプル21人って少なすぎないかと思った。さらに、そういった指摘が散見されたので、今回きっちり統計的仮説検定を行った。後半にて。
宗教2世のサンプルが21人だと、特異例が混ざったりするとブレが発生しそう。とはいえ、宗教2世だけを集めてアンケート取るわけにもいかない。宗教2世だけを集めれば、集まってきた層に偏りが生じる。
「宗教2世集まれー」って集めれば、宗教2世という出自に問題意識を持った人が集まってくる。当然、孤独感が高く、抑うつ状態にあると回答する人の割合が増える。
だから、宗教2世だけを集めるわけにもいかず、こういったアンケートになったのだろう。全体の2000人が少ない気もするが、ここは予算との絡みもある。サンプル数を多くすれば、信頼度は上がるが費用は増える。
私の実感としては宗教2世というか、エホバの証人2世の場合なら、低学歴かつ、孤独感が強く、抑うつ状態にある人の割合は高い。
しかし、今回は一旦それを置いておいて・・・宗教2世は、2000人中21人というマイノリティなのだが、このアンケートで宗教2世とそうでない群、両群の比較が適切なのか、統計的仮説検定を行うことに。
孤独な存在、宗教2世
宗教2世だと、それぞれの事象が起こる確率が高くなるということについて、片側検定を行った。有意水準は一般的な5%とする。
この5%というのは20回に1回の確率でたまたま起こるということ。そのような非常に珍しい結果が得られたら、それは偶然でなく確からしいと言えるとする。
つまり、差がないはずの両群から抽出したはずなのに、宗教2世の方で20回に1回以下でしか起こらないような事象が観察されている。よって、宗教2世の群でその事象が起きる確率が高いのは確からしい、と考える。
計算式を示すので、間違いがあれば指摘して頂きたい。
まずは記事内の数値をまとめる。下表のとおり。
全体で2000人、宗教2世は21人、なので、宗教2世でない群は残りの1979人。というように記事中で明かされていない数値を補完。
まずは1.「宗教2世は、宗教2世でない人に比べて孤独感が強い」という仮説。これは記事中に平均値しか示されていないので、平均値の差の検定は出来ず。(標準偏差か全データが必要)
まあ、2000人中21人という、1%の宗教2世の人々、そういったマイノリティの孤独感が強いのは当然であろう。
宗教2世の抑うつ状態
続いて2.「宗教2世は、宗教2世でない人に比べて抑うつ状態の人の割合が高い」という仮説。こちらは母比率の差の検定を行う。
統計検定量を以下の式にて算出
統計検定量は1.952346、片側5%の棄却域 >1.645に入っているので、片側5%検定の結果は、統計的に有意といえる。
よって、仮説「宗教2世は、宗教2世でない人に比べて抑うつ状態の人の割合が高い」を採用。
まあ、子どもの頃から宗教虐待を受ければ、人はどうなるか?多少の想像力を働かせれば、結果は明らかであろう。
宗教2世の学歴
最後3.「宗教2世は、宗教2世でない人に比べて高学歴者が少ない」という仮説。こちらも母比率の検定を行う。
統計検定量を以下の式にて算出
統計検定量は-2.40983、片側5%の棄却域 <-1.645に入っているので、片側5%検定の結果は、統計的に有意といえる。
よって仮説「宗教2世は、宗教2世でない人に比べて高学歴者が少ない」を採用。
エホバの証人に限っていえば、通信制とか定時制、工業系高校が勧められていたので、当然の結果かと。私も短大卒だし。
結論、宗教2世アンケートの有意性
このアンケートは、2000人中宗教2世が21人という少人数ではあった。しかし、アンケートの結果から、以下のことが確からしいと言える。私自身の実感も多いに伴って。
宗教2世は、学業を疎かにされ、抑うつ状態の人が多い、孤独な存在である。
これ以上、孤独な存在を生まないために、根源を断てと、かねがね私は言っている。学業を疎かにし、抑うつ状態の孤独な存在である宗教2世。そういった悲劇的な宗教2世を生み出すことが間違いない宗教、そのひとつがエホバの証人。諸悪の根源。