『良心の危機』、脚注にひっそりと隠された重大発表

大学で二年と独学、それで聖書の翻訳ができるのか

『良心の危機』第3章「統治体」より。

脚注にサラッと超重要なことが書いてあるので、拾っておく。私みたいに隅から隅まで読まないと気が済まない貧乏性でないと、読みこぼす恐れがあるよ・・・

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ものみの塔協会の製作した「新世界訳聖書」は、著者のおじにあたるフレッド・フランズが中心になって翻訳された。この部分の脚注より。

「新世界訳聖書」には

訳者の名前は記されておらず、「新世界訳委員会」の仕事であることになっている。この委員会には他にネイサン・ノア、アルバート・シュローダー、ジョージ・ギャンギャスがいた。しかし、聖書の言語について、この種の翻訳をするための知識があるのはフレッド・フランズだけだった。フレッド・フランズは、シンシナティ大学でギリシャ語を二年間学んでいたが、ヘブライ語は独学だった

エホバの証人が後生大事にしている「新世界訳聖書」。その翻訳に携わったチームの中で、多少なりとも原語の知識があったのは著者のおじのフレッド・フランズただ一人だった。ギリシャ語は大学で二年、ヘブライ語は独学だそうで。

この辺りは本書でさらに掘り下げられるのだろうか?フレッド・フランズが、裁判所で原語知識について問われたというのを何かで読んだ気がするので、続きに期待。

油そそがれちゃってた著者

驚きの脚注2つ目。

フレッド・フランズが本の中で預言した1975年終末論。人類6000年の歴史が1975年に終わるという、いかがわしいトンデモ論。無責任にもこの本を書いて信者をたぶらかし、偽預言者となったのが1966年。

そして1967年のこと。「読者からの質問」にフレッド・フランズが回答しようとしたのは、「やっぱ終末1974年かも」という内容。この内容に危惧した

ノア会長は、カール・アダムス、エド・ダンラップ、私の三人

に意見を求めた。時限爆弾の発火時刻を自ら進める暴挙を制したいと考えたのだろう。私というのは著者のこと。当然、1974年にも1975年にも終末は来ず、茶番で多くの信者の人生が大きく損なわれた。

『ものみの塔の終焉』1975年狂想曲

この預言云々は関係なく、今回はノア会長が相談した3人について。この脚注が以下

この三人の中では、唯一私だけが「油そそがれた者」であるという告白を行っていた。私の告白は1946年のことだった

ん?著者は「油そそがれ」ちゃってたの?

「油そそがれる」というのは、何らかの天啓を受けて、「私は死後昇天しキリストの隣で地上を統治します」という思い込みに至ること。この幻覚症状者たちは、エホバの証人組織では上層に位置する。

よって確信犯的にこの天啓を使えば、組織の上に昇り甘い汁を吸える。と著者が確信犯的に自称油そそがれたとは考えにくい。良心の危機に陥るような人物なので、そんな即物的ではないだろう。

とすると、天啓を勘違いしちゃったことになるのだが、これだと精神的に相当ヤバい。信じたいモノを勝手に実現させちゃう精神状態。病んでいるのは間違いない。

油そそがれた前後の様子と、執筆当時の油そそがれたことに対する心境の記述を著者は早々にすべきだった。どんなに理詰めされても「私油そそがれているので、死後昇天するんですー」と言っている人間の話は真正面から信用できない。

まだ、「海外の過酷下で伝道するのキツくて、油そそがれたことにして本部の内勤になりました」と、舌を出して肩をすくめている方が信用に足る。それで良心が痛んだって方がまだマシ。多少なりとも共感はできる。

この辺り、4章以降で説明されるのかされないのか。


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