原判決には理由不備がある
ものみの塔と裁判をしていた件。最高裁への上告が受理されなかったので、私の敗訴が確定しているのだが、最高裁への上告理由書の仕上がりが我ながら良かったので、せっかくなのでこの場で供養。
以下、序の序の部分を貼り付け。高裁の原判決が理由不備だと訴えているところ。
原判決(高等裁判所判決)は、民事訴訟法第312条2項に掲げる理由不備・審理不尽・判断遺脱等の重大な違法を含み、破棄を免れない。以下、同条項に基づき、具体的事実と法的理由を示す。
第1 理由不備(民事訴訟法312条2項6号)
本件寄附制度においては、勧誘主体である被上告人(日本法人)と、寄附金の使途を決定し管理する実質的使用主体である「統治体」(米国の世界本部所属)が明確に区別される。
しかし、寄附勧誘時にこの使用主体(統治体)の実態は開示されておらず、寄附者は寄附金の最終的な使用主体の実態を把握できない構造となっている。この「勧誘主体と使用主体の乖離」は、本件寄附制度の構造的特徴であり、寄附者が寄附金の最終的な使途を合理的に把握できない原因となっている。
寄附金の使途および使用主体が不透明であるという構造は、不当寄附勧誘防止法3条3号が防止しようとする典型的な誤認要因であり、本件における誤認判断の核心をなす事実である。
1-1 判断枠組みの変更と説明欠如
事実関係の整理:一審は「寄附金の実際の使途に関する証拠の有無」を基準として判断しているのに対し、原判決は判決理由において突然「寄附前の疑念の有無」という全く異なる判断枠組みを採用した。原判決は判断枠組み変更の理由を一切示していない。
該当箇所:原判決は、一審の判断を引用すると述べつつ、「当審における当事者双方の主張に対する判断を加える」(原判決2頁末尾4行目から3行目)として、独自の判断を次のように示している。
「控訴人は、本件寄附をする以前から、本件宗教団体に係る海外の団体が児童性虐待に係る訴訟を提起され多額の賠償金の支払義務を負い、控訴人に対する寄付金がこれらの支払等に使われているか疑いを抱いていたものである上、当審においても、本件寄附の目的が被控訴人の寄附勧誘の適法性を検証するためのものであったことを自認しているところである。
そうすると、控訴人が、本件サイトの記載により寄附金の使途や使用主体等を誤認したが故に本件寄附を行ったものとは認めることができず、本件サイトにおける寄附勧誘の違法を原因として本件寄附金相当額の損害賠償を求める控訴人の請求は、理由がないものといわざるを得ない。」(原判決3頁12行目から21行目)
問題点:原判決は、一審が採用した判断枠組み(使途の証拠)を放棄し、新たな判断枠組み(疑念の有無)を導入したにもかかわらず、その変更理由を示していない。また、一審の事実認定を維持したのか変更したのかも明らかにしないまま、結論のみを維持している。
法的評価:判断枠組みの変更に関する説明を欠くことは、判決理由としての連関を欠き、論理構造に重大な断絶を生じさせる。原判決は一審の事実認定を引用・参照しつつ、自ら異なる評価基準を導入して結論を維持しており、一審の事実認定を維持せず結論のみ維持している。このような論理構造の断絶は、判決理由としての連関を欠き、理由不備に該当する。
判例:最高裁は、
・理由不備とは主文を導くための理由の全部または一部が欠けている場合である
(最高裁平成11年6月29日判決・平成10年(オ)2189)
・主要事実の判断を欠き、結論との論理的連関を欠く場合は理由不備である
(最高裁昭和57年4月30日判決・昭和56年(オ)487)
・事実認定と法的評価の連関を欠く場合も理由不備である
(最高裁昭和50年12月25日判決・昭和49年(オ)314)
と判示している。本件原判決は、一審の判断枠組みを放棄しながら、その変更理由を示さず、主要事実の判断を欠いたまま結論のみを維持しており、これら判例が示す理由の一部欠缺に該当する。したがって、本件原判決には民事訴訟法312条2項6号の理由不備が明白に認められる。


