誰にも分って貰えない、カルト宗教2世だからこそ・・・

誰にも分って貰えない、カルト宗教2世問題だけど・・・

AmazonのKindle『元宗教二世たち山上容疑者を語る: ありそうでなかった！多宗教二世たちの対談』から。

「宗教に対して1番許せない事は？」の質問。対談形式なので話が逸れていく。宗教2世の悩みについて

宗教と縁のない普通の家庭で育った人には一生理解できない、分からない悩み

との発言。確かに、家庭に宗教問題なんか抱えてない人の方が圧倒的に多くて、宗教マイノリティの理解は困難。一定の理解を示す人がいても、圧倒的共感や完全な理解など得られるはずもない。

ところが、それは誰だって同じ。自分たち宗教2世だって、全く別な問題を抱える人のことなど理解できるはずがない。人は実体験したこと以外は想像するしかないから。

誰だって悲しいことや辛いこと、人に言えないことの一つや二つあると、「想像」してみる。すると、自分のエホバの証人2世という恥さらしな出自だって、もしかすると自分だけが抱えた辛さではないと思えてくる。

誰にも分かって貰えなくても、違う問題で同じ不理解に苦しむ人がいると考えれば、辛いのは自分だけじゃないと前向きになれる。そして、宗教2世という問題を抱えた人たちは、自分が抱える問題ゆえに他人に優しくなれる。他人に対する不理解ゆえに攻撃したり、苦しめたりしないように、自分の境遇から学ぶことができる。

もちろん、宗教2世どうしであれば、抱える問題に対する共感度や理解度は上がる。ところが、抱える問題にも強弱あり、回復度も人さまざま。理解して貰える量を過剰に見積もると、失望することにもなりかねない。

人は自分のことですら、よく理解していない。ましてや他人のことなど理解できるはずがないのだ。

エホバの証人という宗教に対して1番許せないことは？

宗教2世被害者の現在地、経由地

といっても、この本の対談者は皆、宗教2世被害者。共感を呼ぶ言葉が語られている。

どうしようもなく家庭を破綻させる諸悪の根源みたいな親でも、引き剥がせない情があって殺すことは出来なくて、そんな自分に罪の意識を感じて…という苦しさ

カルト宗教2世であれば、誰もが感じた感覚、誰もが通ってきた感情ではないだろうか。

私もエホバの証人だった親を裏切るという罪の意識を感じながら、親に対する情を引き剥がした。そして、諸悪の根源は、家庭を破綻させたのは親ではなく、永遠の命やら復活やらハルマゲドンやら冗談教義で信者を騙す悪趣味なものみの塔協会だと気付いた。

このルートのあいだ、岐路がさまざまで同じカルト宗教2世でも経由地、現在地が異なる。それが相互理解を難しくし、問題を複雑化させるのだが、そのカオスが、「いろんな人がいて、それが良い」というこの世界の理でもある。