控訴理由書を限定公開
ものみの塔と裁判をしている件。控訴理由書を限定公開中。その2。不当寄付勧誘防止法に関する第一審の法令解釈の誤りを説いた第2章と第一審が漏らしたものみの塔の寄付勧誘における問題行為を説いた第3章序文。
第2 不当寄附勧誘防止法の配慮義務に関する法令解釈の誤り
不当寄附勧誘防止法の3条3号の逐条解説(乙11・第一審提出分5頁)は、以下のように配慮義務の趣旨を示している。
「いわゆる正体隠しによる不当な寄附の勧誘を防止するとともに、寄附の勧誘を受ける個人が財産の使途を誤認することのないようにする観点から、寄附の勧誘を行う法人等を特定するに足りる事項を明らかにするとともに、寄附をする財産の使途について誤認させるおそれがないようにすることについて、配慮義務を定めている。このうちの「財産の使途について誤認させる」の意義については、使途についての説明状況や寄附者の理解等の具体的事情によるものの、例えば、被災者支援の目的で寄附したにもかかわらず寄附に係る金銭の大半が当該法人の別の事業に充てられた場合など、寄附の目的と実際の使途とがおよそ異なる場合がこれに当たると考えられる」
この逐条解説に照らせば、本件に関連する配慮義務違反の典型的類型として、少なくとも以下の3点(a)〜(c)が挙げられる。
(a) 正体隠しによる寄附勧誘
(b) 寄附の使途についての説明責任の不履行
(c) 寄附の目的と実際の使途とがおよそ異なる場合
まず、「いわゆる正体隠しによる不当な寄附の勧誘を防止するとともに」という記述から、正体隠しによる寄附勧誘の場合は、当然配慮義務違反に当たる。
さらに、「使途についての説明状況や寄附者の理解等の具体的事情による」との記述があり、寄附者の理解に照らして使途に関する必要な説明責任を怠った場合にも、配慮義務違反が成立し得ることを示している。
また、逐条解説の「例えば」という表現からも明らかなように、(c)の事例はあくまで例示にすぎず、限定的な要件ではない。
第一審判決では(c)の観点のみから「児童性虐待裁判への寄附金流用」の事実が証拠上認められないことを理由に、控訴人の主張を退けている。
令和6年7月11日最高裁判決は、勧誘行為の違法性判断において、個別事情を単独で検討するのみでは足りず、勧誘に関する諸事情を総合的に考慮した上で、社会通念上相当な範囲を逸脱しているか判断すべきであると判示している。(別紙判例一覧表参照)
しかしながら、第一審判決は、正体隠しの可能性、使途についての説明状況といった重要な判断要素を検討せず、逐条解説の趣旨を限定的に理解したものであり、法的評価の枠組みとして不十分である。
第3 第一審判決の事実認定および法的評価の漏れ
控訴人は、被控訴人の寄附勧誘に関し、以下6点(1)〜(6)の問題を指摘している。
(1) 児童性虐待裁判に寄附金が流用されていると推認される
(2) 被控訴人の海外送金と海外団体への不関与
(3) 被控訴人の主張の転換と矛盾
(4) 統治体による使途管理という構造的問題
(5) 寄附金の使途の不透明性
(6) 不誠実な対応と情報遮断
これら6点の事実に対して、不当寄附勧誘防止法における配慮義務違反の法的評価軸として、以下3点(a)〜(c)が適用されるべきである。
(a) 正体隠しによる寄附勧誘
(b) 寄附の使途についての説明責任の不履行
(c) 寄附の目的と実際の使途とがおよそ異なる場合
控訴人は、これらの(1)〜(6)の6点の問題点 × (a)〜(c)の3点の法的評価軸により、少なくとも18通りの配慮義務違反の可能性を主張している。しかし、第一審判決は、(1)の事実が証拠上認められないことを理由に、(c)の評価軸のみを適用して控訴人の主張を退けており、他の組み合わせが評価されておらず、審理が限定的である。
以降では、控訴人が主張する問題点(1)〜(6)について、順次、(a)〜(c)の法的評価軸に照らして検討する。


