控訴理由書を限定公開
ものみの塔と裁判をしている件。現在、最高裁へ上告し、上告が受理されるのを待っているところ。ちょっと遡って、控訴審へ提出した理由書を公開。多分、1ヶ月間くらいの限定公開になるかと。今日は序文。
第1 控訴の趣旨と審理すべき争点の構造整理
第一審判決は、被控訴人の寄附運用における説明責任の不履行、構造的問題、不透明性など、核心的論点に触れておらず、訴訟の本質的争点を十分に検討していない。
本件は、寄附者の保護と寄附運用の透明性を問う公益的問題提起であり、控訴審においては、第一審で見落とされた論点を正面から審理されるべきである。
第一審判決は、被控訴人に対して控訴人が行った寄附(以下「本件寄附」という。)が海外の控訴人が挙げる裁判費用等に使用されていると認めるに足りる証拠はないとして請求を退けているが(第一審判決11頁)、これは裏を返せば、本件寄附金が控訴人の挙げる海外のエホバの証人による児童性虐待裁判の費用等に使用されていたと認定されれば、「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律」(以下「不当寄附勧誘防止法」という。)に違反することを前提にしている。
また、第一審判決においては、本件寄附の実際の使途が被控訴人の管理運営するウェブサイト(以下「本件サイト」という。)の記載とおよそ異なっていて、被控訴人とは別の法人が控訴人の主張する訴訟費用等に使用していた場合に違法性が生じ得るとの判断枠組みが示されている(第一審判決11頁)。本件サイトに記載された「世界的活動」への寄附の使途は、宗教活動・人道活動を指すものであり、第一審裁判所もそのように理解していたと推認される。被控訴人の「世界的活動への寄附は使途が無制限」という主張は採用されていない。
よって、本件寄附金が海外のエホバの証人による児童性虐待裁判の費用等に使用されていた場合には、寄附者の合理的期待に反する使途であり、被控訴人の寄附勧誘(以下「本件勧誘行為」という。)が社会通念上相当な範囲を逸脱すると認められ、不当寄附勧誘防止法に違反するものとなる。
控訴審においては、本件寄附金が米国でエホバの証人による児童性虐待の裁判費用等に流用されていることに高度な蓋然性があることを踏まえて、改めて実質的な審理を求めるものであり、その詳細は第3において詳述する。
また、本件裁判を通じて、被控訴人の寄附金の使用主体であるエホバの証人の世界本部に属する統治体の「正体」とも言える活動実態が明らかとなった。被控訴人が、この「正体」を伏せて寄附勧誘を行うことは「正体隠し」による寄附勧誘であり、不当寄附勧誘防止法に反するものである。「正体隠し」については第一審では検討されておらず、この点についても控訴審において改めて審理されるべきであり、詳細は第3において述べる。
第一審の判決では、本件寄附の実際の使途が、本件サイトの記載とおよそ異なっていて、被控訴人とは別の法人が控訴人の主張する訴訟費用等に使用していたと認めるに足りる証拠がないことを理由に、控訴人の請求に理由がないとしている(第一審判決11頁)。
しかし、控訴人の主張は、本件寄附金を被控訴人とは別の法人が控訴人の主張する訴訟費用等に使用していたことだけをもって不当寄附勧誘防止法に反しているとするものではない。
控訴人は、本件勧誘行為に関して複数の問題を指摘しており、それらは不当寄附勧誘防止法における配慮義務違反の法的評価軸に照らして検討されるべきである。第一審判決は、これらの論点のうち一部しか審理しておらず、審理の枠組みとして不十分である。
これらの他の考慮すべき論点について、控訴人の主張が散逸していたこともあり、第一審では、控訴人は「種々の主張をするが、上記認定判断を左右するものではない」(第一審判決文11頁)として、複数の論点が個別に評価されることなく一括して退けられており、当該論点が判決の結論にどう影響したのかが不明確である。
しかし、これらの論点の中には、寄附勧誘の適法性判断に直結する重要な要素が含まれており、判決の結論に直接影響を及ぼすものである。よって、控訴審においては、これらの論点について改めて網羅的かつ実質的な審理が尽くされるべきである。具体的な審理漏れと評価の誤りについては、第3で詳述する。
また、被控訴人が移送申立書(甲15・第一審提出分)において、不当寄附勧誘防止法は新しい法律であり、裁判例が見当たらず、本件訴訟は新たな法律に関する解釈を示すものとして重要な裁判になる可能性があると主張し、本件訴訟の法的重要性を認めている。よって、不当寄附勧誘防止法の法的解釈において多方面からの検討が必要である。
しかし、第一審判決は、審理の範囲が限定的であり、法的評価の枠組みとして不十分である。控訴審においては、これらの論点を網羅的かつ実質的に審理されるべきである。


