控訴理由書を限定公開
ものみの塔と裁判をしている件。控訴理由書を期間限定公開中。第5弾。ものみの塔の寄附勧誘における6つの問題点のうちの(4)(5)番目。
(4) 統治体による使途管理という構造的問題
被控訴人は、海外の法人や裁判へ非関与であることを繰り返し主張しているが、本件サイトには、実際には米国の世界本部へ送金されていることが記されており(乙13の2末尾・第一審提出分)、米国の世界本部に属する統治体(乙2・第一審提出分)が世界中の支部から集めた寄附金の配分と運用を一元的に管理していることが示されている(乙2・甲13・第一審提出分)。この統治体や世界本部は児童性虐待裁判に敗訴し、多額の賠償責任を負っており、現在も係争中の裁判が存在する(甲3・甲9~11・第一審提出分)。
被控訴人は、第一審第2準備書面6頁で、エホバの証人の米国法人が米国内で集めた寄附金を児童性虐待の裁判費用に流用している事実を認めている。
(a)正体隠しによる寄附勧誘
使用主体である統治体の活動の実態を寄附者に開示せず、「世界的活動への支援」という抽象的な表現で寄附を募る構造は、寄附者の合理的期待を損なうものであり、「正体隠し」に該当する。
寄附者が被控訴人に寄附したつもりでも、実際には児童性虐待裁判で敗訴し賠償責任を負っている統治体の裁量で使われているという構造は、寄附者の誤認を招いており、寄附をするか否かの適切な最終意思決定を妨げるものであり、配慮義務違反が成立する。第一審判決はこの構造的問題を評価しておらず、寄附勧誘の適法性判断として不十分である。
(b)寄附の使途についての説明責任の不履行
被控訴人が寄附金の最終的な使途を管理していないにもかかわらず、寄附を募っているという構造自体が違法性を有するものであると控訴人は主張する。
米国の世界本部の統治体が世界中の寄附金の使途を一元的に管理しており、被控訴人は繰り返し海外法人への非関与を主張している。これは、寄附者に対して使途を説明する立場にない者が寄附を募っていることになる。
寄附者が寄附をするか否かを合理的に判断するために必要な情報が提供されていない構造は、説明責任の不履行であり、不当寄附勧誘防止法第3条1号および3号に定める配慮義務違反に該当する。第一審判決はこの構造的問題を看過しており、控訴審において改めて審理されることが不可欠である。
(c)寄附の目的と実際の使途とがおよそ異なる場合
統治体は、人道活動という目的とは正反対の児童性虐待裁判での敗訴という活動実態を持つ。その統治体に寄附金の使途が委ねられている構造は、寄附の目的と実際の使途とがおよそ異なる場合に該当し、社会通念上相当な範囲を逸脱していると評価されるべきである。
第一審判決はこの点を十分に評価しておらず、控訴審においては、寄附の目的と使用主体の活動実態が正反対となる構造について、控訴審において再審理されるべき法的必然性がある。
(5) 寄附金の使途の不透明性
被控訴人は乙14(第一審提出分)において、寄附金が国をまたいで裁判費用に支出されることを述べ、第一審第2準備書面6頁で海外送金を認めている。また、甲13(第一審提出分)では寄附金が資金難の国へ送られることが明記されている。
一方、被控訴人は「世界的活動」への寄附金の送金国については、寄附者にも裁判所にも明示していない。乙13の2(第一審提出分)末尾部分から、米国への送金が読み取れる程度である。
また、控訴人は被控訴人に対して、本件裁判のために財務諸表の閲覧請求を行ったが(甲17)、被控訴人は閲覧を拒否しており、被控訴人の寄附金の運用実態は極めて不透明である(甲18)。このような姿勢は、寄附者の合理的期待を損ない、寄附勧誘の適法性に重大な疑義を生じさせる。
(a)正体隠しによる寄附勧誘
被控訴人の寄附勧誘サイトには、寄附金の使用主体である統治体の名称や活動実態は一切記載されておらず、寄附者は使用主体を合理的に把握できない。
このような被控訴人の寄附金運用の不透明な構造は、消費者庁の逐条解説が問題視する「正体隠し」に該当し、寄附者の合理的期待を著しく損なうものであり、配慮義務違反が成立する。第一審判決はこの点を評価しておらず、法的判断として誤っている。
(b)寄附の使途についての説明責任の不履行
第一審判決は、「本件寄附の実際の使途が記載と異なっていたと認めるに足りる証拠はない」として請求を退けたが、そもそも寄附金の実際の使途は裁判所にも把握できていない状況である。
使途不明であることを理由に違法性を否定するのは、論理的に逆転した評価であり、寄附者の合理的期待に照らした実質的審理がなされていない。
被控訴人が第一審第2準備書面3頁で送金の具体性がないとする点は、寄附者がアクセスできない情報であり、寄附者が調査できない被控訴人の寄附運用構造こそが誤認の温床である。
また、控訴人による財務諸表の閲覧請求に対して、被控訴人が公開を拒否したことは、透明性の欠如を示す直接的証左である。
よって、控訴審では、寄附金の不透明運用により使途が不明な構造そのものが違法性を帯びる可能性があることを前提に、実質的な審理が求められる。
(c)寄附の目的と実際の使途とがおよそ異なる場合
控訴人は「宗教活動・人道活動」と信じて寄附を行ったが、実際には海外送金を挟むために使途が不明であり、児童性虐待の裁判費用に流用されている可能性も否定できない。このような構造は、寄附の目的と実際の使途とがおよそ異なる場合に該当し得る。
寄附金の使途が不明で調査不能であること自体が、寄附者の合理的期待に反するものであり、違法性の判断に直結する要素である。


