控訴理由書を限定公開中
ものみの塔と裁判をしている件。控訴理由書を期間限定公開中。第4弾。ものみの塔の寄附勧誘における6つの問題点のうちの(2)(3)番目。
(2) 被控訴人の海外送金と海外団体への不関与
被控訴人は第一審第2準備書面6頁で、「寄付が海外に送金されることはないなどとは主張していない」と述べ、寄附金の海外送金を認めている。しかし、「海外の裁判に関与していない」(甲5・第一審提出分)、「海外の法人が何をしているか知らない」(甲7・第一審提出分)、「海外の法人の運営に干渉すべき義務はない」(第一審第2準備書面1頁)と主張している。
海外に送金しているのに海外の状況へ不関与とする姿勢は、寄附金の使用主体と使途に関する情報を寄附者に提供する責任を放棄しているものであり、寄附勧誘の適法性に重大な疑義を生じさせる。
(a)正体隠しによる寄附勧誘
被控訴人は、寄附金の送金先である米国の世界本部や統治体の活動について「知らない」と主張しており、寄附者に対して使用主体の実態を開示していない。寄附勧誘サイトにも、送金先の法人名や活動内容は一切記載されておらず、寄附者は「世界的活動への支援」という表現のみを根拠に寄附を判断する構造となっている。
このように、寄附金の使用主体が誰であり何をしているかを、寄附者が合理的に認識し得ない状況は、「正体隠し」に該当する。被控訴人が「知らない」と主張することは、寄附者の合理的期待を損ない、配慮義務違反が成立する。
(b)寄附の使途についての説明責任の不履行
被控訴人は日本で集めた寄附金を海外送金していて、海外の法人が何をしているのか知らないのであれば、海外の法人が寄附金をどのように運用しているか知りようがない。これは、被控訴人自身が寄附の最終的な使途を把握していないことを意味し、寄附者に対して使途を説明できないことを自ら認めているに等しい。
令和6年7月11日最高裁判決は、寄附者が寄附をするか否かの適切な判断をすることが困難な状態での寄附勧誘は違法と評価されると不当寄附勧誘防止法第3条1号に基づいて判示している。(別紙判例一覧表参照)
寄附者は、誰がどのように寄附を使うかを理解した上で、寄附をするか否かを判断する権利を持つ。不当寄附勧誘防止法第3条3号が定める「使途の誤認を防ぐための配慮義務」は、まさにこの点を保護するための規定である。
勧誘者としての被控訴人が、寄附金の使用主体と使途を合理的に説明できない状況は、寄附者の使途の誤認を招き、寄附をするか否かの意思決定を困難にするものであり、配慮義務違反に該当する。
(c)寄附の目的と実際の使途とがおよそ異なる場合
この点は、(1)の論点と連動する部分が多いため、ここでは補足的に整理する。
被控訴人は「宗教活動・人道活動」として寄附を募っているが、寄附金は海外に送金されており、その使途は被控訴人自身が把握していない。その結果、寄附金の最終使用者である統治体が敗訴し賠償責任を負う児童性虐待裁判の費用等に使用されている可能性があるにもかかわらず、寄附者にはその情報が一切提供されていない。
被控訴人が「知らない」と主張することで、寄附者は使途を合理的に把握できない。これは「宗教活動・人道活動」という目的に対し、実際の使途が不明であるという乖離を生む構造であり、寄附者の合理的期待を裏切るものである。また、寄附者が「宗教活動・人道活動」への支援と信じて寄附したにもかかわらず、実際には児童性虐待の裁判費用に流用されている可能性が大いにあるという構造は、寄附の目的と実際の使途とがおよそ異なる場合に該当するものと評価されるべきである。
(3) 被控訴人の主張の転換と矛盾
被控訴人は、当初、寄附金は日本の法人で使っていると海外送金を否定していたにも関わらず(甲7・第一審提出分)、訴訟の進行に伴い、一転して、第一審第2準備書面6頁において海外送金の事実を認めた。
また、第一審第1準備書面でも「訴訟の費用は、訴訟が生じている各国の法人で賄っている」(14頁)と主張しつつ、同時に提出した乙14(第一審提出分)では訴訟費用が国をまたぐケースが紹介されている。
被控訴人は、控訴人の問い合わせに対して「海外の裁判に関与していない」(甲5・第一審提出分)、「海外の法人が何をしているか知らない」(甲7・第一審提出分)と繰り返し回答していた。さらに、第一審第2準備書面1頁では「海外の法人の運営に干渉すべき義務はない」と述べている。それにも関わらず、「原告が指摘する海外の児童性虐待訴訟費用に支出されたことはない」(第一審第2準備書面1頁)と断定し、主張間に著しい齟齬が認められる。
このような主張の転換や矛盾は寄附者の合理的期待を損なうものであり、寄附制度の健全性を揺るがす。また、寄附者が寄附をするか否かの適切な判断をすることを困難な状態にするものであり、寄附者が使途を誤認する構造的要因となっている。
(a)正体隠しによる寄附勧誘
被控訴人は第一審第1準備書面において、児童性虐待裁判の存在について一切触れず、控訴人が提出した資料(甲3・第一審提出分)に対しても、事実関係を認めることなく「正確性・信頼性がそもそも不明」と主張した。しかし、事実関係を認めざるを得ない米国の裁判資料(甲9~11・第一審提出分)が提出されて、第一審第2準備書面6頁でようやく事実関係を認めた。
このような姿勢は、寄附者に対して重要な事実を伏せていることの証左であり、「正体隠し」に該当する。第一審判決はこの点を評価せず、寄附者が使用主体の実態を知らされていなかったことの不当性を看過しており、法的評価として不十分である。
(b)寄附の使途についての説明責任の不履行
寄附者が寄附の使途に疑問を持ち、問い合わせを行ったにもかかわらず、被控訴人は「世界的活動への寄附は日本で使っており、海外の法人が何をしているか知らない」として回答を拒否し(甲7・第一審提出分)、後に海外送金を認めるという誠実義務を著しく逸脱した対応は、寄附者の寄附をするか否かの適切な意思決定を妨げ、使途の誤認や混乱を招くものであり、社会通念上相当な範囲を逸脱していると評価されるべきである。
第一審判決は被控訴人の主張の転換や矛盾における齟齬を看過しており、審理として不十分である。
(c)寄附の目的と実際の使途とがおよそ異なる場合
被控訴人が当初否定していた海外送金を後に認めたことで、寄附金の使途が「日本国内の活動」から「海外の裁量」に委ねられていたことが明らかになった。
これは、寄附者が期待した使途との乖離を示す重要な転換である。 寄附者が「宗教活動・人道活動」への支援と信じて寄附したにもかかわらず、実際には児童性虐待という非人道的な行いの裁判費用に流用されている可能性がある。
この構造は、寄附の目的と実際の使途とがおよそ異なる場合に該当するものと評価されるべきである。 第一審判決は、「証拠がない」としてこの点を退けたが、被控訴人の主張の転換と、寄附の目的と実際の使途の乖離の蓋然性を踏まえれば、控訴審において改めて審理されることが不可欠である。


