ものみの塔と裁判をしていた件。最高裁への私の上告提起が受理されなかったため、私の書いた上告受理申立理由書を公開供養中。東京高裁判決の問題を述べた第3章。
3-2 合理的疑念と誤認の関係
寄附者が合理的疑念を抱いていた場合に、それが誤認成立を否定する要素となるのか、むしろ説明義務を強化する要素となるのか、その法的評価は確立していない。
不当寄附勧誘防止法3条3号は、寄附者の「疑念の有無」を誤認否定要素とする根拠を持たず、原判決の採用した判断枠組みは条文の趣旨と整合しない。
(3-2-1)法の趣旨との逆行
不当寄附勧誘防止法3条3号は、寄附者が使途を誤認することを防止するために、理解に応じた説明義務を課している。したがって、寄附者が合理的疑念を抱いた場合、それは本来、勧誘側の説明義務違反の可能性を示す事情である。
上告人の疑念は、使用主体の不明確性や使途の不透明性といった客観的事実に基づくものであり、むしろ説明義務の発生・強化を導く典型例である。
にもかかわらず、原判決は、疑念の存在を誤認否定の根拠として用いており、これは同条項の趣旨を根本から誤解した重大な法令解釈の誤りである。
(3-2-2)「誤認させるおそれ」に関する判断構造の誤解
逐条解説(乙11)が示す同条項の判断構造は、「説明状況 → 寄附者の理解 → 寄附目的と実際の使途の一致」という三段階を前提とする。
寄附者が疑念を抱く状況は、説明状況が不十分で理解が形成されていないことを示す事情であり、本来は「誤認させるおそれ」を肯定する方向に作用する。
しかし原判決は、疑念の存在を誤認否定の根拠として用い、判断構造を逆転させている。これは、同条項の判断枠組みそのものを誤解した法令解釈の誤りである。
(3-2-3)条文にない「心理状態」を主要判断要素とした問題
原判決は、不当寄附勧誘防止法3条3号において条文上予定されていない疑念という「心理状態」を主要判断要素として結論を導いており、これは同条項の判断枠組みの解釈として重要問題を含む。
条文は客観的説明状況を基礎とする判断構造を採るものであり、寄附者の「心理状態」を誤認否定要素とする余地はない。
合理的疑念は、説明状況が不十分で理解が形成されていなかったことを示す客観的評価概念であり、本来は誤認肯定方向に働く事情である。原判決はこれを誤認否定の根拠に転倒させており、判断構造を根本から逆転させた法令解釈の誤りである。


