ものみの塔裁判:上告受理申立理由書を公開、東京高裁判決が抱える法令解釈の誤り

ものみの塔と裁判をしていた件。最高裁への私の上告提起が受理されなかったため、私の書いた上告受理申立理由書を公開供養中。東京高裁判決の問題を述べた第3章。

3-3 事実認定と法的評価の逆転

原判決は、上告人が寄附前に抱いた疑念が、寄附金の使用主体の裁判状況や多額の賠償責任を負っていること、寄附金の海外送金の不透明性といった客観的事実に基づく合理的疑念であることを自ら認定している。

しかし、これらの事情は、逐条解説(乙11)が示すとおり、使途に関する説明状況が不十分で寄附者の理解が形成されていないことを示す典型的事情であり、本来は「誤認させるおそれ」を肯定する方向に働く。

にもかかわらず原判決は、これらの事情を誤認否定の根拠として用いており、事実認定と法的評価を逆転させたものである。この逆転は、不当寄附勧誘防止法3条3号の判断構造を誤解した法令解釈の誤りであり、原判決の結論に直結する。

 

3-4 合理的疑念認定後の説明義務・立証責任

寄附者が合理的疑念を抱く状況は、使途に関する説明状況が不十分で寄附者の理解が形成されていないことを示す典型的事情であり、本来は勧誘側に説明義務の発生・強化を導くものである。

したがって、合理的疑念が認定された時点で、使途に関する説明義務およびその立証責任は勧誘側に移転するのが、同条項の判断構造に照らした当然の帰結である。

しかし原判決は、この転換を全く検討せず、勧誘側の説明義務不履行を看過したまま、寄附者側に証明責任を負わせて誤認を否定している。

これは、不当寄附勧誘防止法3条3号の趣旨・構造を誤解した法令解釈の誤りであり、原判決の結論に直接影響を及ぼすものである。

 

3-5 裁判費用流用蓋然性の認定と一審との矛盾

被上告人は、「海外での児童性虐待裁判費用への寄附金流用の蓋然性」について「憶測にすぎない」と述べるのみで、具体的な反論理由を示していない。原判決は、この点に関する被上告人の主張を検討することなく、上告人の疑念の背景事情として流用蓋然性を事実上採用している。

しかし、一審は「海外での児童性虐待裁判費用への寄附金の流用を認める証拠がない」ことを理由に違法性を否定しており、原判決の認定は一審の判断枠組みを根本から覆すものである。それにもかかわらず原判決は、流用蓋然性を認定しながら誤認を否定しており、判断基準が一審と整合していない。

この矛盾は、不当寄附勧誘防止法3条3号の趣旨・構造に関する法令解釈の誤りが原判決の結論に直結していることを示すものである。


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