附帯控訴理由書を限定公開
ものみの塔と裁判をしている件。第一審は私の敗訴。控訴審の話なのだが、私の控訴に対して、ものみの塔側も附帯控訴をしていて、その理由書を期間限定公開。批評目的の抜粋引用だが、内容の詳細な評価は後日AIにて。
※本記事の引用部分は、批評・検証を目的とした引用であり、個人情報部分は削除しています。
第1 控訴の利益について
1 事案の概要
本件は、附帯被控訴人(原告)が、附帯控訴人(被告)に1000円を寄附した際、附帯控訴人が不当寄附勧誘防止法3条3号に違反する寄附の勧誘を行ったと主張して、不法行為に基づく損害賠償として1000円の支払を求めた事案である。
2 全部勝訴者からの控訴について
第一審において附帯被控訴人の請求が棄却されたため、附帯控訴人は全部勝訴した。この場合、附帯控訴人には、控訴の利益が認められないのが原則である。
3 原判決の重大な違法
しかしながら、本件については例外的に附帯控訴人に控訴の利益が認められる。なぜなら、原判決には弁論主義に違反する重大な違法が存在するからである。弁論主義違反は、民事訴訟の根幹にかかわる重大な違法であり、「判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反」(民訴法325条2項)に該当する。上告裁判所である最高裁判所が原判決を破棄する理由となり(最高裁昭和41年4月12日民集20巻4号548頁、判夕193号84頁)かつ、訴訟記録により直ちに判明する事柄である。したがって、附帯控訴人には例外的に控訴の利益が認められる。
4全部勝訴者に控訴の利益が認められた最高裁判例
全部勝訴者であっても、民事訴訟法上の重大な違法がある場合に控訴の利益が認められるべきことは、処分権主義違反の判決について控訴の利益を認めた最高裁平成24年1月31日(集民239号659頁、裁判所時報1548号56頁)、また直接主義違反の判決について控訴の利益を認めた最高裁令和5年3月24日(民集77巻3号803頁、判夕1512号69頁)から明らかである。これらの判決の趣旨からすれば、民事訴訟法上の重大な違法が認められる弁論主義違反の原判決に対しても、控訴の利益が認められるべきである。
第2 原判決の弁論主義違反の具体的内容
1 原判決の問題点の特定
原判決は、争点1(訴権の濫用)についての被告の主張を採用せず、争点2(違法な勧誘の有無)についての被告の主張を受け入れて、原告の訴えを却下するのではなく、原告の請求を棄却した。争点2についての原判決の判断は正当であるが、争点1についての判断には、重大な問題がある。以下、詳しく説明する。
2 争点1(訴権の濫用)についての判例
- 訴権の濫用についての判例はどれか
訴権の濫用についてのリーディングケースは、最高裁昭和53年7月10日(民集32巻5号888頁、判夕370号66頁)であるが、訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときに訴権の濫用に当たるとして訴えを却下すべきかどうかという問題については、最高裁昭和63年1月26日(民集42巻1号1頁、判夕671号119頁)を受けて、東京地裁平成12年5月30日(判夕1038号154頁)の控訴審である東京高裁平成13年1月31日(判1080号220頁。以下「東京高裁判例」という。)が判例となり(民訴法318条1項)、訴権の濫用の要件が定式化された(乙54の19頁④、同22頁の2(1)、乙55の407~408頁、430頁)。
- 東京高裁判例が示した訴権濫用の要件
東京高裁判例は、「訴権濫用の要件」として、「民事訴訟制度は、提訴者が申し立てた権利又は法律関係(訴訟物)の発生・変更・消滅を招来させる事実の存否について実体的に審理・判断し、実体法規の解釈・適用を経て、提訴者の主張した権利又は法律関係の存否を宣言することにより、社会に惹起する法律的紛争の解決を果たすことを趣旨・目的とするものであるところ、かかる紛争解決の機能に背馳し、当該訴えが、もっぱら相手方当事者を被告の立場に置き、審理に対応することを余儀なくさせることにより、訴訟上又は訴訟外において相手方当事者を困惑させることを目的とし、あるいは訴訟が係属、審理されていること自体を社会的に誇示することにより、相手方当事者に対して有形・無形の不利益・負担若しくは打撃を与えることを目的として提起されたものであり、右訴訟を維持することが前記民事訴訟制度の趣旨・目的に照らして著しく相当性を欠き、信義に反すると認められた場合には、当該訴えの提起は、訴権を濫用する不適法なものとして、却下を免れないと解するのが相当である。」と判示した。
- 東京高裁判例の考慮事情
東京高裁判例は、「訴権濫用の要件」を示した後、「判断の視点」として「前記のような訴権濫用の要件の存否については、提訴者の訴え提起の意図・目的・提訴に至るまでの経過、言動、提訴後の訴訟追行態度等の諸事情を中核としながらも、訴訟提起・追行による相手方当事者の応接の負担、相手方当事者及び訴訟関係者が訴訟上又は訴訟外において被ることがあるべき不利益・負担等の内容をも斟酌するとともに、提訴者の主張する権利又は法律関係の基礎となる事実的、法律的主張の根拠の有無、蓋然性の程度等の事由をも前記主観的意図を推測させる有力な評価根拠事実として考慮の上、総合的に検討して、慎重に判断すべきことはいうまでもない。そして、右のうち相手方当事者の被る不利益・負担等の判断に当たっては、相手方当事者が、実体判決を望んでいるか、訴訟判決を望んでいるかという事情も、有力な判断資料になると解される。」と判示した。
- 「訴権の濫用」についての要件事実
「訴権の濫用」は、民法1条3項の「権利の濫用」を根拠とするものであり、規範的要件である。規範的評価は法的判断であって事実ではないから、規範的評価自体を主要事実と考えることはできない。弁論主義の下で要件事実が果たすべき相手方の防御の機能という観点から、規範的評価を基礎づける具体的事実が主要事実であると解すべきである。最高裁平成30年6月1日(民集72巻2号88頁、判夕1453号58頁)は、評価根拠事実及び評価障害事実はいずれも主要事実であり、評価根拠事実については当該評価に基づく法的効果を主張する者が、評価障害事実については当該評価に基づく法的効果を争う者が、それぞれ主張立証責任を負う旨を判示している。(乙56の2頁)そうすると、規範的評価を根拠づけ、また障害する具体的事実について弁論主義が適用されることになり、当事者が主張しない限り、裁判所が当該事実を判断・評価の対象とすることはできない。評価根拠事実が抗弁となり、評価障害事実が再抗弁と位置付けられることになる(乙57の239頁、乙58の36,37頁)。
- 東京高裁判例の要件事実の考え方
東京高裁判例は、訴権の濫用の成立要件を示した上で、考慮事情としてどのような具体的な事実を「評価根拠事実」として考慮すべきかを示したものと考えられる。「評価根拠事実」という表現から分かる通り、東京高裁判例は、上記の規範的要件の要件事実についての考え方を当然の前提にしていると解するのが妥当である。
3 原判決の判断の方法
- 原判決の訴権の濫用の判断基準
原判決は、訴権の濫用の判断に当たり、判断基準を提示しているが(原判決8頁22行目~9頁)、東京高裁判例にある「当該訴えが、もっぱら相手方当事者を被告の立場に置き、審理に対応することを余儀なくさせることにより、訴訟上又は訴訟外において相手方当事者を困惑させることを目的とし、あるいは訴訟が係属、審理されていること自体を社会的に誇示することにより、相手方当事者に対して有形・無形の不利益・負担若しくは打撃を与えることを目的として提起されたものであり」という重要部分を削除している。上記の通り、東京高裁判例が示した提訴者の目的に関わる主観的要件を丸ごと削除しているから、これ自体が控訴裁判所である高等裁判所の判例(民訴法318条1項)に反するというべきである。
- 原判決の考慮事情
原判決は、原告が
①平成29年6月に本件ブログを掲載し、最終目標が本件宗教団体の撲滅であると掲げたこと
②令和3年の本件ブログの中で、本件サイトからの寄附について、「デジタル守銭奴化」していると評したこと
③令和5年の本件ブログで、被告に対する寄附が危険なものであるという趣旨の発信をしていたこと
④そのような発信をしている中で、令和6年1月19日、多額とはいえない金額の寄附をあえて行ったこと
⑤その後短い期間に、書面で3回、電話で複数回、被告に対して寄附金についての問い合わせを行ったこと
を認定した上で、「原告があえて本件寄附を行ったのは、被告に対する攻撃行為の一つとして紛争状態を作出し、裁判手続を利用して、自身の考えが正当であるとその正当性を社会に発信するためと推認することができ」、「原告の請求に理由がないものであることも踏まえると、本件訴えの提起は、民事訴訟制度の趣旨・目的に照らしてその相当性に疑問がある」とした。
ところが、続けて原判決は、
⑥本件訴訟のほかに、原・被告間に係属する訴訟は見当たらないこと
⑦原告が被告に対して従前から何度も訴えを提起していたものとは認められないこと
⑧原告は、その目的はともかく実際に本件寄附をおこなっていること
⑨原告が、本件請求を行う根拠について具体的に主張していること
を認定して、これらの事情を総合考慮すると、本件訴訟を維持することが直ちに信義に反するとまでは言えないとし、訴権の濫用に該当するとの被告の主張を退けた。
- 原判決の考慮事情の分析
以上からすると、原判決は①~⑤を評価根拠事実として認定し、⑥~⑨を評価障害事実として認定したものと認められる。原判決は、これらの事情を「総合考慮」したとしているが、評価根拠事実だけでは当該評価の成立に十分でないときは、主張自体失当となり評価障害事実を考慮するまでもないのであるから、原判決は評価根拠事実に基づき当該評価(抗弁)が成立したことを前提として、さらに評価障害事実に基づく再抗弁が成立したと判断したと解される。(乙58の36,37頁、乙59の89、90頁)
- 原判決の弁論主義第1テーゼ違反
以上からすれば、本件の要件判断の核心となる争点は、「評価障害事実に基づく再抗弁が成立するか否か」ということになるが、原判決は、当事者が主張していない評価障害事実を認定した。とりわけ、⑥本件訴訟のほかに、原・被告間に係属する訴訟は見当たらないことと、⑦原告が被告に対して従前から何度も訴えを提起していないなどという事実は、原告も被告も全く主張していない事実である。口頭弁論期日においてこの点についての釈明もなく、被告に防御の機会が与えられることもなかったから、原判決の争点1についての判断は、被告にとって全くの不意打ちである。
- 第1テーゼ違反は訴訟記録から判明する
⑥、⑦の評価障害事実を当事者が主張していないことは、訴訟記録から直ちに判明する事柄である。原告書面(訴状、原告準備書面(1))、また被告書面(答弁書、被告第1準備書面、同第2準備書面)のいずれにおいても、そのような事実主張は記載されていない。(訴状に「本年、この裁判所において少額訴訟による審理及び裁判を求めるのは1回目です。」との定型文にチェックが付されているが、これは少額訴訟の要件を満たしているかを確認するためのものであって、そもそも被告の抗弁に対する再抗弁として主張されたものではないし、「本年」「この裁判所」「少額訴訟による」という限定が付されているから、原判決が認定した⑥、⑦の事実を原告が再抗弁として主張していたとみることはできない)。
そして、原判決の判決書7頁の「被告の主張」「原告の主張」のいずれの欄を見ても、⑥、⑦の事実は記載されていない。「原告の主張」の欄に記されている通り、原告は被告が主張する評価根拠事実に基づく評価を争って自らの目的の正当性を主張していたに過ぎず、評価障害事実を再抗弁として主張していたわけではない。
- 原判決の弁論主義第3テーゼ違反
加えて、上記⑥、⑦について、訴訟記録を見ても何の証拠もない。原判決は、当事者が申し出た証拠に基づくことなく、評価障害事実を認定したのであるから、弁論主義第3テーゼにも違反している。
- 弁論主義の例外についての補足
なお、学説上は、弁論主義の例外を認める見解が存在する。公益性の強い一般条項(公序良俗違反や強行法規違反)については、裁判所が不法に手を貸すことを防ぐ必要があるため、弁論主義が制限されるとする見解がある。権利濫用や信義則違反についても、当事者が規範的要件を基礎づける事実を主張していなくても、裁判所が証拠資料から評価根拠事実を認定できるとする学説もある。
しかし、弁論主義の例外の趣旨は、裁判所が不法に手を貸すべきではないという点にあるため、権利濫用や信義則違反の評価根拠事実については証拠から認定できる場合があるとしても、評価障害事実については当事者が主張・立証すべきである。
本件においては、訴権の濫用についての評価障害事実の主張のみならず、それを裏付ける証拠の提出もなく、さらには裁判所が被告に対して釈明を行った事実も、当事者の主張立証を促した事実もない。したがって、いかなる学説に依拠しても本件が弁論主義の例外に該当する余地はないというべきである。
4原判決の弁論主義違反の重大性
弁論主義は、当事者の主張に基づいて裁判を行うという訴訟構造の根幹をなす民事訴訟法の基本原則であり、原判決には重大な違法がある。したがって、控訴審においてこの違法を是正すべきである。
5原判決のその他の問題点
- 判断の中核となる評価根拠事実の認定不足
東京高裁判例は、訴権濫用の要件の存否を判断するに当たり、「提訴者の訴え提起の意図・目的・提訴に至るまでの経過、言動、提訴後の訴訟追行態度等の諸事情」を「中核」と位置付けていた。被告は、これに該当すると思われる以下の評価根拠事実を主張し、必要な証拠を提出していた。
ア 原告が被告に寄付をしたのは、2024年1月19日のわずか1回限りであること(被告第1準備書面4頁)。
イ 原告がエホバの証人の信者の基本的人権を否定していたこと(被告第2準備書面7~9頁。乙19~21)。
ウ 原告が被告に対するヘイトスピーチを繰り返してきたこと(被告第2準備書面9~11頁。乙19,同28~31)。
エ 原告が2023年6月3日頃に、内容虚偽の電話を被告に対して行ったこと(被告第2準備書面11,12頁。乙32)。
オ 原告が、自らのブログに虚偽を記載し、被告及び関連団体の名誉を毀損する誹謗中傷を行ってきたこと(被告第2準備書面12~14頁。乙4、同33)。
カ 原告が被告や関連団体の宗教行事を妨害してきたこと(被告第2準備書面14~15頁。乙33,同35~37)。
キ 原告が、記念式会場に乗り込んで妨害したこと(被告第2準備書面15~16頁。乙38~45)。このイエスの死を記念する式典は、毎年一回行われるエホバの証人にとって最も神聖な行事である。
ク 原告がエホバの証人の大会会場に潜入し、嫌がらせを行ってきたこと(被告第2準備書面16~17頁。乙46~50)。
ケ 原告が、本件寄附の当日及びその前後の日にも被告を執拗かつ辛辣に批判していたこと(被告第2準備書面17~18頁。乙51~53)
- その他の評価根拠事実の認定不足
その他、東京高裁判例は、「提訴者の主張する権利又は法律関係の基礎となる事実的、法律的主張の根拠の有無、蓋然性の程度等の事由」や「相手方当事者の被る不利益・負担等」を考慮すべきとしており、その判断に当たっては、「相手方当事者が、実体判決を望んでいるか、訴訟判決を望んでいるかという事情も、有力な判断資料になると解される。」と判示した。よって、これらの点に該当する以下の事実も評価根拠事実として考慮すべきである。
ア 提訴者の主張する権利又は法律関係の基礎となる事実的、法律的主張に根拠がないこと(原判決10~12頁、乙55の430頁)。
イ 被告は訴訟判決を望んでいること(答弁書第1,被告第2準備書面19頁第4)。
- 評価障害事実たりえない事実の認定
原判決は、評価障害事実たりえない事実を認定している。
ア ⑥、⑦について
原判決は、⑥「本件訴訟のほかに、原・被告間に係属する訴訟は見当たらず」、⑦「原告が、被告に対して従前から何度も訴えを提起していたものとは認められない」(原判決10頁4~6行目)ことを評価障害事実としている。
しかし、「本件訴訟のほかに、原・被告間に係属する訴訟がある」とか「原告が、被告に対して従前から何度も訴えを提起していた」との事実主張が訴訟当事者からあれば、それは評価根拠事実に位置づけられる。
東京高裁判例は、評価根拠事実として考慮すべき要素として、「提訴に至るまでの経過、言動、提訴後の訴訟追行態度等の諸事情」を挙げている。原・被告間の他の訴訟の有無は、その中で考慮すべき事情である。
実際、東京高裁判例の事案は、「本件訴訟のほかに、原・被告間に係属する訴訟がある」とか「原告が、被告に対して従前から何度も訴えを提起していた」という事情はなかったが、訴権の濫用を認めているのであるから、それらの事情がないことが訴権の濫用の成否に決定的な事情でないことは明らかである。他に原・被告間に訴訟があることの主張があれば、それは評価根拠事実として考慮されるべきであるが、その主張がないとしても、それは当該評価根拠事実が存在しないということに過ぎない。
イ ⑧について
原判決は、「原告は、その目的はともかく実際に本件寄附を行っている」(原判決10頁6,7行目)ことを評価障害事実としているが、不当である。原判決は「原告があえて本件寄附を行ったのは、被告に対する攻撃行為の一つとして紛争状態を作出し、裁判手続を利用して、自身の考えが正当であるとその正当性を社会的に発信するためと推認することができ」(原判決9頁25行目以降)、「原告は、本件宗教団体が活動できなくなるようにすることを目的に行動していたのであるから、本件寄附もその一環として行われたとして行われたものといわざるを得ず」(原判決10頁19~21行目)などと述べている。そうであれば、本件寄附は「攻撃行為の一つとして紛争状態を作出」し、「本件宗教団体が活動できなくなるようにすることを目的」として行われたのであるから、その目的は考慮すべき重要な事情であって、「その目的はともかく」などと脇に置くべき事情ではない。
東京高裁判例は、「提訴者の訴え提起の意図・目的」を検討すべき事情の中でも「中核」と位置付けているから、行為者の目的を度外視すべきでないことは明らかである。このような目的で寄附を行ったことを度外視して、「実際に本件寄附を行ったこと」を評価障害事実として挙げること自体が大きな誤りである。
ウ ⑨について
原判決は、原告が「本件請求を行う根拠についても具体的に主張する」(原判決10頁7,8行目)ことを評価障害事実としているが、これも不当である。原判決は「被告による寄附の勧誘に何らかの問題があり、それを原因として原告が本件寄附を行ったものとは認められない」(原判決11頁3~5行目)と述べ、原告の請求には理由がないとしている。つまり、原告の主張する権利の基礎となる事実的、法律的主張には、根拠がないということである。
既に述べた通り、東京高裁判例は「提訴者の主張する権利又は法律関係の基礎となる事実的、法律的主張の根拠の有無、蓋然性の程度等の事由」を不当な主観的意図を推測させる有力な評価根拠事実として考慮すべきとしている(乙55の430頁)。こじつけでも言いがかりでもよいから、何か具体的な根拠をつけて訴えれば評価障害事実になるなどとは言っていない。
東京高裁判例に従うなら「原告が、本件請求を行う根拠について具体的に主張していること」を評価障害事実として考慮するのではなく、「原告の主張する権利の基礎となる事実的、法律的主張に根拠がないこと」を評価根拠事実として考慮すべきである。
エ 小括
以上からすれば、⑥~⑨は、評価障害事実に該当しないことは明らかである。これらの事実をどのように「総合考慮」しても、評価根拠事実を覆す再抗弁が成立するなどということはあり得ない。
第3 結論
以上の通り、規範的要件の判断に当たって考慮すべき事情を考慮せず、考慮すべきでない事情を考慮しているなど、原判決には数多くの違法・不当な点があるが、とりわけ弁論主義という民事訴訟法の基本原則に反する重大な違法がある。原判決の評価障害事実の認定は、附帯控訴人(被告)にとって全くの不意打ちであり、公平性を欠くものである。
附帯被控訴人(原告)は、執拗に附帯控訴人に対する嫌がらせ行為を繰り返してきた。その上で、附帯被控訴人があえて本件寄附を行ったのは、附帯控訴人に対する攻撃行為の一環として紛争状態を作出し、裁判手続を利用して附帯控訴人を困惑させ、有形・無形の不利益・負担若しくは打撃を与えて、附帯控訴人が活動できなくなるようにするためである。このような違法不当な目的で本件寄附を行って訴訟提起にまで至ったのであるから、附帯被控訴人の訴えを却下すべきであったことは明白である。
にもかかわらず、附帯被控訴人が主張しておらず、裏付ける証拠もない主要事実を認定することにより、原裁判所は附帯被控訴人に加担したのである。東京高裁判例に反し(民訴法318条1項)、訴訟制度の濫用を是認し、民事訴訟の基本理念に反する原裁判所の判断は到底容認されるべきでない。よって、原判決は控訴審において取り消されるべきである。
以上
ここまで。
途中、原告が、原告が、原告が、と連呼していて、ちょっと気持ち悪いんだけど、これだけ、私への個人攻撃にご執心なところを見ると、控訴理由書でよほど自身の寄附勧誘の痛いところをつかれたんでしょうな。


