控訴理由書を限定公開
ものみの塔と裁判をしている件。控訴理由書を期間限定公開中。第7弾、寄附者である私の動機について述べた第4章。
第4 寄附動機と判断過程に関する事実認定の誤り
(1)寄附動機に関する事実認定の誤り
第一審判決は、控訴人の寄附行為の動機について「攻撃目的」「紛争作出の意図」があったと推認しているが(第一審判決文9頁)、これは控訴人の実際の目的を誤認しており、事実認定として不当である。当該推認は、控訴人に敵意があると認められることをもって寄附動機を断定するという因果関係の欠缺に基づくものであり、事実認定として相当性を欠く。
控訴人は、被控訴人の寄附勧誘の適法性を検証するために寄附を行ったものであり、紛争を好んで作出したわけではない。
また、紛争状態が生じたのは、被控訴人が説明責任を果たさず、質問に答えなかったからである。
(2)寄附の判断過程に関する事実認定の誤り
第一審判決が、本件勧誘行為に何らかの問題があり、それを原因として控訴人が本件寄附を行ったものとは認められないと断定したこと(第一審判決文11頁)は事実認定の誤りである。
控訴人は、少年期にエホバの証人の信条による輸血拒否を強制され、生死の危険にさらされた経験から、被控訴人の活動に対して強い問題意識を持っている。そのような宗教団体に寄附をするという行為には、控訴人なりの覚悟と合理的判断があった。
そして、寄附をするか否かの最終意思決定においては、本件サイトの記載を信頼するしかなかったという事情がある。エホバの証人の集会や大会等の集まりごとの開催場所や時間帯については、本件サイトに正確に記載されていると控訴人は認識している。控訴人は、寄附の運用についても、同様に正確な記載がされていると一旦は信じたのである。すなわち、控訴人の最終意思決定は、本件サイトの表示内容に依拠して形成された。
控訴人は、寄附勧誘サイトに記載された「宗教活動・人道活動」という説明を信頼して寄附を行ったが、実際には米国の統治体が使途を掌握しており、その統治体が児童性虐待裁判で多額の賠償責任を負っている事実が本件裁判を通じて明らかになった。もし使用主体の実態が本件サイトに記載されていたならば、控訴人が寄附をしなかったことは明らかである。
このように、統治体の正体が隠されているという観点で、被控訴人の寄附勧誘は常に問題をはらんでいる。
したがって、控訴人の寄附における意思決定において、本件勧誘行為が意思決定に影響を与えた重要な要素であることは、客観的に認められる。本件寄附は、本件勧誘行為の内容に基づく合理的期待のもとで行われたものである。
寄附者の合理的期待は、勧誘時に提供された情報の内容・完全性・透明性に基づいて形成されるものであり、これらが欠缺する場合、意思決定の適切性が損なわれる。ゆえに、寄附動機の評価は主観的推認ではなく、勧誘内容の客観的構造に即してなされるべきである。
第一審は、寄附者の合理的期待と勧誘内容との連関について、審理を尽くしておらず、判断枠組みとして不十分である。控訴審においては、寄附者の合理的期待と勧誘内容との連関について、網羅的な事実認定と法的評価を尽くすべきである。
総括的評価
第一審判決は、控訴人の寄附動機や判断過程について、主観的な推認に基づいて「攻撃目的」「紛争作出の意図」と断定しているが、これは控訴人の実際の意思形成過程を軽視した事実認定の誤りである。
控訴人は、寄附勧誘の適法性を検証する公益的関心から寄附を行ったものであり、寄附者としての合理的期待と寄附をするか否かの最終意思決定は、本件勧誘行為の内容に強く依存していた。
第一審判決がこの点を軽視し、本件勧誘行為に何らかの問題があり、それを原因として控訴人が本件寄附を行ったものとは認められないと断定したことは、寄附者保護の観点からも事実認定として誤っている。
寄附者の寄附をするか否かの最終意思決定は、寄附勧誘の適法性を判断する上で不可欠な要素であり、寄附者の合理的期待と勧誘内容との関係性を丁寧に検討する必要がある。控訴審においては、寄附の意思決定が本件勧誘行為に依拠していたことを前提に、第一審判決の事実認定の妥当性について、改めて審理されるべきである。


