今を愛せないエホバの証人(JW)2世に未来はない

エホバの証人の王国会館の献堂式とは

私は、生まれながらにエホバの証人(通称JW)という宗教の2世信者だった。2世信者とは、親の宗教を当然のよう強制される子供のこと。

14才のときに私はエホバの証人をやめた。両親にエホバの証人の集会や布教活動に行かないと告げる。

それ以来、ほぼ100%エホバの証人の活動に参加していない。例外は、”主の記念式”という年に一度のエホバの証人のイベントと、”献堂式”というイベントへの2回の参加だけ。

私は9才のときに引っ越したのだが、その引越し以前に所属していたエホバの証人の会衆の王国会館が新しく建て直された。これは私が15才、エホバの証人をやめてすぐの頃。

会衆とは、地域毎に分割されたエホバの証人信者の集合単位で、最大成員100名程度。王国会館とはエホバの証人の集会用の建物のこと。

以前に住んでいた地域のエホバの証人の王国会館が新築された。エホバの証人の王国会館の新築を祝うのが”献堂式”。この献堂式に両親に連れて行かれた。幼なじみとも言える人々に会えるということで、私はこの献堂式に参加したのだった。

エホバの証人2世の架空の幼なじみ

この献堂式で懐かしい旧友と話し、お互いにようやくエホバの証人をやめられる年頃になったのだと実感する。一方ではエホバの証人組織に献身してしまい、泥沼から抜け出せなくなった幼なじみの2世信者もいた。

献身とはエホバの証人版洗礼のことでバプテスマと言われる。「身も心もエホバの証人組織に捧げます」という誓いをたてること。献身すると身内の信者からは兄弟姉妹と呼ばれることになる。

エホバの証人的には立派な姿の同世代の”兄弟”の姿を見て、私は何とも言えない気持ちになった。献身したからと言って、組織から足を洗うのに指を取られたり財産を取られたりすることはない。やめるのは自由。

それでも信者にとってバプテスマには相応の重みがあり、そんな決意をしてしまった同年代の若者を見て、私は呆れるというか虚しさを感じるというか、複雑な心境だった。

私は幼稚園や保育園に行かず、その頃からエホバの証人の布教活動に連れて行かれていた。私には幼児期の友人はエホバの証人しかいない。引っ越したことで小学校低学年のときの一般の友人は1人もいなくなった。

そんな私にとって、エホバの証人繋がりの幼なじみは貴重な存在だった。しかし、彼らとは全く連絡を取り合うこともなくなった。連絡をするにしろ、お互いの価値観が当時とは全く異なっている。

元・現役問わず、エホバの証人信者との距離感はいろいろ。マインドコントロールの解け具合も人によって様々。幼なじみとは言っても”エホバの証人の”という条件付き。エホバというのが架空の神でその宗教も偽、その信者繋がりなので、言わば架空の幼なじみだった。

エホバの証人の王国会館という虚構の世界の架空の友人

元エホバの証人二世の友達や幼馴染

未来は不遇の今の先に

引っ越したあとの直近のエホバの証人たちに至っては交流などしたくもない。私が引っ越した後、小学校高学年から中学校時代までの一般のクラスメイトも同じ。

私がエホバの証人2世だった頃と、やめる瞬間を知られている人々。古傷をえぐられるようで、連絡して会ったりなどしたくもない。

エホバの証人2世は、いつも心のどこかでエホバの証人をやめたいと願っている。一般人の方が自由で楽しいから。本人が気づいていないか、自分に対しても隠し通して露見していない人も多いだろうが。

人間は楽しい刹那がないと、生きていく気力を失う。エホバの証人は全ての楽しみを先送りにしている。だから、人間としての気力を失い、魅力を失っていく。そして、その先送りにした楽しみは実現しない。嘘つきカルトなので。

エホバの証人である限り、理想の自分とは真逆。当然、その自分を認めることも愛することも出来ない。そして、エホバの証人2世である自分がいる場所も大事にすることが出来ない。

私にとって、エホバの証人である間、全てが通り過ぎていくだけの一過性の場所だった。そこにいる人との関係性もただその時だけのものと感じられた。

さらに私は、脱会後も、エホバの証人2世特有の「こうあらねばならない」という強迫観念のせいで、いつも理想の自分を追い求めた。理想が叶わなければ、その場所も価値の無いものに感じられる。その場所の人間関係も自ずと希薄なものになっていった。

理想の自分を思い描くのは良い。しかし、それは現在の延長上にある。まず今の自分を愛せなければ理想の将来は訪れはしない今の不甲斐ない自分を許せなければ、そこに何も積み重ねられない。

「もう良いんだよ。充分やっているし、よくやってきた」。かつての友人や幼なじみたちにも、そう声をかけたい。


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